峠 上 (新潮文庫 し 9-15)
峠 上 (新潮文庫 し 9-15) / 感想・レビュー
優希
面白かったです。越後長岡藩藩士・河井継之助。一藩士であった彼が家老としての地位をうまく時代の背景と絡ませながら描いているので、どういう歩みをしてきたのかがよくわかりました。塾に学びながらも、物事の原理を見つめようとする姿は、幕末という時代の行く末まで眺めようとしていたのだと思います。西洋の近代思想にも通じていた継之助の自分は事を成すためにいるという考えに共感。正直あまり興味のない人物でしたが、この本で興味が湧きました。下巻も読みます。
2016/10/17
優希
再読です。長岡藩藩士・河井継之助の物語。知識を得るより歴史などの物事の動きに興味を持つところに惹かれました。自由人のように世渡りをする継之助ですが、幕末という時代を見据えていたように思えます。実力を認められ家老に抜粋されるのも納得です。正直あまり興味のない人物でしたが、この作品で興味を持ったんですよね。
2023/04/12
TATA
北越戦争において長岡藩の首班であった河井継之助の一生。西郷隆盛も認める傑物であったのだが、幕末の長岡藩にあったが故に、西国諸藩に出遅れ歴史の表舞台に立てなかった不運。江戸に近接し、京と隔絶した東国諸藩はある意味歴史の裏街道にあったのだなと知る。いわば幕末のアナザーストーリー。大政奉還後の京へ走る継之助、歴史の速度はさらにここから加速する。
2021/01/16
流之助
再読。この作品は何度も読んだけれど、考える時は考え、こうと決めたら(感応したら)すぐに行動に移す、という継之助の姿にいつも感銘を受ける。周囲から奇異の目を向けられても生き方を曲げない。それはある意味鈍感な部分でもあるが強さである。武士としての立場と、己の才覚による時勢の流れ。その矛盾の中で自分がすべきことは何か。短編「鬼謀の人」では描かれなかった継之助の内面に迫り、何故あの結末へと至ったのかを描いてゆく。女遊びに耽り学業を怠りつつも人物として大きな継之助。下巻ではいよいよ彼の大舞台が幕を開ける。
2019/02/03
ロマンチッカーnao
あいつは字を書くのではなく、字を掘るのだ。河井継之助は言われたいました。それほど力を込めて書いていた。河井継之助の本の読み方は、気に入ったものは何度でも読む。気に入ったヶ所は字が立ち上がってくるほど読み込む。そして、書写する。そうして、知識を自分の血とし肉とていった。幕末の英雄、坂本龍馬や高杉晋作とは違い、天才肌ではなく、ひたすら、自分を鍛えて、作り上げた人物ですね。若い頃読み、生き方に憧れ、こんな人間になりたいと思った人物です。再読し、やはり、僕の人生に大きく影響を与えた人物だなと感じました。
2020/09/07
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