赤い月〈上〉 (新潮文庫)
赤い月〈上〉 (新潮文庫) / 感想・レビュー
AICHAN
図書館本。小樽の貧しい家で育った波子は、女性の復権と自由を唱える平塚らいてふが好きで奔放な娘時代を送る。馬車屋の森田と結婚しても奔放さは変わらず、やがて森田が満州に渡ってひと旗上げようと考えたときは積極的に森田を後押しして子供たちととも大陸に渡る。起業のとき波子は、人生はどんなことをしてでも生き抜いてみるだけの価値があると心に刻む。昭和20年8月9日、旧ソ連軍が満州に侵攻し、波子たちは命からがらハルビンまで逃げる…。
2018/09/08
kawa
なかにし氏の父母の満州体験を小説化。物語のスタートは、敗戦直前のソ連侵攻、それにともなう悲惨な逃避行。私の父も、北海道から満州、かの地で召集敗戦を迎えている。敗戦時の苦労話を直接に聞くチャンスがなくて悔やまれるのだが、本書に描かれる修羅場を人ごととして読めない。
2022/05/15
James Hayashi
著者の私小説。満州に生まれ終戦後帰国するが、終戦間際の混乱の様子や、なぜ夢を持って満州へ渡ったかが描かれている。満州関連の作品を幾つも読んでるので新鮮さは感じられなかったが、出だしからインパクトのある作品で興味を持って読み進めた。寒暖の激しい大陸での生活や、市民を放り出し先に帰途へついた関東軍の行動に悲哀を感じる。下巻へ。 映画やドラマにもなった作品で、表紙は常盤貴子かな?
2016/02/05
財布にジャック
実際にあったかもしれないと思うと辛すぎます。満州からの引きあげ者の主人公の過酷な運命に胸を痛めながら、下巻へと読み進めます。
2023/04/02
Cinejazz
1945年(昭和20年)8月、ソ連軍による大日本帝国の傀儡政権「満州国」への侵攻が始まった。栄華の絶頂にあった、満州一の造り酒屋「森田酒造」は、満人の暴動により壊滅。関東軍、国策会社、本国からも見放された森田社長の妻(波子)は、二人の子どもを抱えながら、満州の広大な原野を彷徨う、言語に絶する避難生活を余儀なくされることに…。中国黒龍江省牡丹江で生まれの直木賞作家・なかにし礼(1938-2020)氏が、自らの幼児体験に基づいて、赤裸々な人間の表裏を再現された、作者渾身の長編小説。
2024/11/01
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