世界の喜劇人 (新潮文庫 草 158-6-F)
世界の喜劇人 (新潮文庫 草 158-6-F) / 感想・レビュー
さらば火野正平・寺
この文庫の初版美品をブックオフの105円コーナーでゲットできたのはプレミア含め幸運かも知れない(自慢)。『日本の喜劇人』は十代の頃読んで一時期愛読書だったが、片仮名人名や映画が不得手なのでこちらは敬遠していた。今回初読してみて、もっと早く読めばよかったと後悔。著者の言う通り第二部が一番面白い。マルクス兄弟イチ押しらしいが、私が惹かれたのはボブ・ホープ&ビング・クロスビイの珍道中もの。いつか是非見たい。私が見た事があるのはチャップリン位だが、『独裁者』を通したチャップリン論は秀逸だった。良い。
2014/03/24
六点
マルクス兄弟以降の映画の喜劇人を歯に衣着せぬ論評と代表作におけるギャグを克明に分析した古典的名著。これにパイソンズのスケッチを分析した本があれば、お笑いを見る上では十分な鑑識眼を持つことができるとおもう。お笑いに関心があるなら必読書といえよう。
2018/04/18
囚人13号
これは本棚の取り出しやすい場所に常備してる。ギャグの言語化という暴挙を何故こんなにも面白くしてしまうのか。アボット&コステロやマーティン&ルイスといった日本の批評家連が嫌う(しかしアメリカの若者たちには受けていたらしい)輸入品をこき下ろしつつも良さげなギャグは強かに書き留めていくスタイル。チャップリンも喜劇王とはいえギャグという観点においては殿堂どころかやや冷遇気味でそれも恐らく正しいのだが、筆者の隠しきれないハーポびいきは微笑ましい。
unterwelt
『世界の喜劇人』というタイトルですが、取り上げられているのはほとんどアメリカの喜劇映画。とはいうものの、第2部の喜劇映画のギャグを列挙するところは「こんなことをするのは私ぐらいだろうから、私がやらないといけない」といわんばかりの念が見えて凄まじかった。それにしてもどこかで見たようなギャグが多いと思ったが、思い返すに『バックス・バニー』や『ロードランナー』あたりに似たようなギャグがあったかもしれない。あと芸は好きだがギャグは嫌いというチャップリン評も面白い。
2019/06/20
fritzng4
血肉化された自らの体験を基にバッサバッサと世界の喜劇人を斬り捨てつつも、彼らのギャグを克明に記そうとするその意思に感動させられる喜劇論。サイレント期から70年代までの世界の喜劇映画(90%はアメリカであるが)についての本として少なくとも日本で出版されたものとしては知らないし、小林信彦の前人未踏の偉業には驚かされるばかり。アボット・コステロの切り捨て方もすごいのだがとにかくジェリー・ルイスへの罵詈雑言っぷりがすごい。ブレーク・エドワーズの『パーティ』ってちょっと見てみたい。
2017/11/23
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