悪魔の下回り (新潮文庫 草 158-8)
悪魔の下回り (新潮文庫 草 158-8) / 感想・レビュー
wang
人生に絶望した中年男が悪魔と契約して人生をやり直す。下回りをするような最下級のダメ悪魔。主人公が選んだ人生は、悪魔の能力が低いせいなのか、わざとなのかどうもピントがずれて思い通りにならない。最初は超二枚目若手歌手となり新人賞を狙うが、審査委員へ裏工作で大混乱。次には地味ながら知的な編集者を目指すが、作家のわがままに翻弄される。一転流行作家を目指すが文学賞もまた受賞するまでの紆余曲折あり。筒井康隆「おおいなる助走」のような怨念はないが、賞レース裏側のドタバタがユーモアたっぷりに描かれる。
2021/10/01
ゆーいちろー
軽妙なユーモアが持ち味の作者だが、その中でもトップクラスのはじけた作品であろう。基本的に上品な作風なのに、本作は結構下品である。解説でも触れられているが、筒井康隆の作品に通じるハチャメチャ振りである。作品中やはり、一番印象に残るのは悪魔との雑俳合戦である。うまいものだと、ほとほと感心してしまう。ギャグ小説なのでさすがにネタが風化してしまっている部分(吉野家が倒産したのはこの頃だったらしい)もあるが、それでもなお十分楽しめる。
2010/09/15
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