背中あわせのハート・ブレイク (新潮文庫 こ 10-21)
背中あわせのハート・ブレイク (新潮文庫 こ 10-21) / 感想・レビュー
ゆーいちろー
何度か読んでいるはずなのに、「すべての小説が青春小説であれかし」、という解説の橋本治の言葉が全く記憶に残っていなかった。青春とは年齢のことではなく、不器用さやある種の熱っぽさ、もっと端的に言えば馬鹿であることだと仮に定義すれば、なるほど、例えば「老人と海」なんか、実は青春小説とも呼べるなと思ったりもする。わたし自身は無論作中の彼らのような、楽しくも悲しい劇的な体験などしていないのだけれども、小林信彦にもっともはまっていた中学高校時代を思い出して、これも青春であったと思うのである。
2010/06/23
ぽけっとももんが
わたしの知らない「あの当時」の濃厚なにおいを感じる。すごく久しぶりに読み返したのだけれど、ストーリーをほとんど覚えていないのに小さなエピソードや文章の言い回しなどはかなりしっかりと記憶に刻まれていてびっくり。小林氏の小説を何度も何度も読み返していた少女時代に遺伝子にでも組み込まれたか。
2013/02/15
丰
19910625
乙郎さん
高校の頃に。
横丁の隠居
1988年作品。描かれているのは1949-1950年の「文京区の高台」にある「対学習院戦」をやる高校の映画研究会である。キーとなる人物、教師の「矢部」は「太平洋戦争中の(日本の)狂気がまだ生きのびている」ような人物である。物語は後半で一高校の話から朝鮮戦争と「逆コース」を描き出す。時代の描き方が克明で、それが世界情勢、ひいては2021年現在まで尾を引く日本の政治状況の問題点のスタート地点を明確に描き出している点で、今でも読むに値する小説だと思う。
2021/06/12
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