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ぼくたちの好きな戦争 (新潮文庫 こ 10-24)

ぼくたちの好きな戦争 (新潮文庫 こ 10-24)

ぼくたちの好きな戦争 (新潮文庫 こ 10-24)

作家
小林信彦
出版社
新潮社
発売日
1993-11-01
ISBN
9784101158242
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ぼくたちの好きな戦争 (新潮文庫 こ 10-24) / 感想・レビュー

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kokada_jnet

喜劇的想像力で戦争を描いた自伝的な名作。『楡家の人々』『キャッチ=22』やヴォネガットの作品等の反響を感じる。また、戦前の日本に大量にあふれていた、アメリカ文化の影響の大きさについても描く。作中に、アメリカ人が書いていた「第二次世界大戦に日本が勝った」小説が、入れ子構造で挿入されているのは、フィリップ・K・ディックの『高い城の男』の影響。小林信彦の小説には、ディックの影響をうけた作品がかなりある。また、この本の執筆前には、「日米架空戦記」について、古典SF研究家の横田順彌に問合わせをしていたのであった。

2021/12/11

メタボン

☆☆☆☆ 新潮社の純文学書下ろし特別作品らしい力作だった。序盤は面白くもないユーモアをひけらかされている感じで辟易したが、次第にのめり込んでいった。空襲場面の描写は真に迫るものがあった。

2023/11/30

ハチアカデミー

戦時中の浅草を舞台に書かれた三兄弟の物語に加え、作家本人を思わせる少年も登場。タイトルほどには「楽しい」戦争の様子は描かれないが、底辺の笑いというか、追いつめられた状況でにじみ出る悲哀にみちた笑いが味わえる。特に、戦場で追いつめられた末っ子の史郎がグルーチョ・マルクスに扮して投降する姿が強烈。また、リアリズムの中に、アメリカ人の描いく近未来小説がはさまれ、そこでは第二次世界大戦に日本が勝ったという想像が、どこかグロテスクに描かれる。事実と虚構が入り混じるどこか佐藤春夫『わんぱく時代』を思わせる作品である。

2015/02/26

はりーさん 

太平洋戦争が舞台なのに、シリアスになり過ぎないないように笑いの要素が上手く配合されている。戦争を否定する文言は一言も出てこないが、愚かな行為であることを兪やする表現は多々出てくる。この作品を読むとわかるのだが、タイトルの『ぼくたちの好きな戦争』は、小林信彦の強烈な皮肉なのだろう。

2014/02/14

ゆーいちろー

本書は単純な反戦小説でもなく、自伝的小説でもない。作者呼ぶところの喜劇的想像力によって「あの戦争」の一面を描いたものだ。この作品が、事実を正確に書いた類の物語でないことが重要なのであろう。もしも、文学の力、小説の力というものがあり得るのだとしたら、そこには「創作」の部分が必要なのではないか。作り話にこそ往々にして、強い感動の念を覚えるのは、物語の読み手なら一度ならず経験があることだろうと思う。

2011/05/15

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