喜劇人に花束を (新潮文庫 こ 10-30)
喜劇人に花束を (新潮文庫 こ 10-30) / 感想・レビュー
ヨーイチ
「日本の喜劇人」の補足、追加分と言う位置付けで紹介される本書。縁起でも無いが、作者の書き置きって匂いが漂うのは考えすぎか。植木等、藤山寛美ときて伊東四郎のライナップがそう感じさせる。名高い「日本の喜劇人」は読書メーター参加以前の読了のため「いうまでも無く、まさに名著 小林氏の著作は業界人の必読書読んで損無し!」とあっけないコメントのみ。まぁ書き出したら只では済まないくらい恩を蒙ったと言っておこう。伊東四郎が喜劇人として小林に認識されているのが堪らなく嬉しいし寂しい。続く
2022/09/09
ワッピー
植木等・藤山寛美・伊東四朗にフォーカスした「日本の喜劇人」の続編である本書は映画が衰退し、テレビが台頭していく移行期に現れた天才たちの栄枯盛衰を内部から見てきた著者の喜劇論でもあり、また著者本人の軌跡でもあります。冒頭三人については名前を知っている程度で、旬の活躍に接したことはありませんでしたが、この世界の人脈や力関係、そして自分の知らない「その前」の事情を含む昭和芸能史を堪能しました。小林信彦のこのジャンルの評論は小説のように読める希有な作品群です。
2022/01/10
kinkin
著者のいう喜劇人は、今のピン芸人のことではない。人を笑わせてこそ喜劇人であり、笑われたり笑っているのは喜劇人とはいわない。
2013/05/03
gtn
伊東四朗も古い人である。「みごろ!たべごろ!笑いごろ!!」でベンジャミン伊東を怪演したとき、既に四十だったという。著者はそれを「狂気」と呼ぶ。
2018/08/17
marua
どんなものであっても、それが受け入れられるためには時代背景と密接に関わる。小林信彦のすごさは「自分の目で見て感じたことを誠実に書ききる」ことなんだと、藤山寛美のくだりを読みながら改めて思った。上方芸能界の通例と「ぼくは商人の子だから<すべて自前>という発想である」というフレーズの乖離が顕著。植木等と対比させるとくっきりと質の違いが浮かび上がる。「日本の喜劇人」を読み返して勉強しなおさなきゃなあと思わせる1冊。
2014/12/25
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