東京少年 (新潮文庫)
東京少年 (新潮文庫) / 感想・レビュー
優希
自伝的小説でした。戦争を経験した著者が少年の目線で戦争を描いています。そのせいか、当時の様子がありありと思い浮かびました。戦争を語り継ぐことがあまりなくなった現在だからこそ響くものがありました。
2021/06/06
チョッピー
著者の書いた色々な文章で「これでもか」とばかりに触れられている「体験」なので、意外性は特に感じませんでしたが、まとまった文章で具体的に語られる箇所箇所で、腑に落ちる部分はありました。著者の「東京」に対する感覚と過去へのルサンチマン(と本人は思っている)は自分が年をとるにつれ、共感が出来ないものへと変わってきていますが、この作品でも改めてその意を強くしました。
2016/04/11
ちゃま坊
今生きている人はあの戦争の生き残りの子孫ばかりとなった。戦争体験を祖父母や父母に聞いたことはある。あのとき死んでいれば自分は生まれていない。東京大空襲の日に東京にいなかったのは学童集団疎開のおかげだ。イジメと空腹はつらい体験であったが命があってよかった。戦後疎開地から東京へ戻るのに苦労するが、運のよい部類に入るだろう。
2024/06/13
tjZero
著者の自伝的小説。太平洋戦争末期、北関東への《集団疎開》と新潟への《個人疎開》の日々を描く。教科書や歴史書ではわかりづらい、少年目線での庶民の生活ぶりがヴィヴィッドに綴られる。自分の両親や祖父母の世代がこんな風に激動の時期を生き抜いてきたんだ、と思うと感慨深い。
2021/02/12
kokada_jnet
小林信彦の自伝小説はすべて「あ、このことが言いたかったのだな」という「恨み言」部分があるが。この本では、戦後の新潟滞在時代の、東京に戻ろうとしない、小林父の優柔不断ぶり。
2012/10/19
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