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俺俺 (新潮文庫)

俺俺 (新潮文庫)

俺俺 (新潮文庫)

作家
星野智幸
出版社
新潮社
発売日
2013-03-28
ISBN
9784101164526
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俺俺 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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かみぶくろ

なかなか含蓄深い現代の風刺劇。他者と分かり合いたいのに分かり合えなくて淋しいから、全員俺に均一化して意思疎通してみたら、今度はやっぱり自己としての俺に戻りたくなる、そうするとまた他者のことが分からなくなる、っていう無限ループ。他者と分かり合えないことも「俺」が社会において完全に代替可能であることも、すごく良く分かるんだけど、なんというか「所与の前提」な気がするから、今更パニくることでもあるまい、とは思った。でも正面から粘っこく描き切っているところに好感。

2017/02/17

hit4papa

忘れものの他人の携帯で戯れにオレオレ詐欺を働いた主人公。やすやすと金をせしめた途端、被害者の女性が訪れ主人公を息子として扱うようになります。それを契機に、あちこちに自分=俺が増殖しちゃうっていう、自我崩壊不条理小説です。皆んながそろって俺になっちゃって、俺俺というわけですね。姿かたちは別でも、皆が俺だと認識してしまいます。同じ俺なのに、気の合う俺と虫が好かない俺の存在。さてさて、世の中に溢れる俺(俺たち)の運命やいかに。混乱の極みですが、俺のつながりにもうひと工夫欲しいところです。【大江健三郎賞】

2018/11/03

さっとる◎

これは恐ろしい本。まさに戦慄の俺小説。他人に囲まれた社会にストレスを感じる。誰もがそうだろう。圧倒的に分かり合える「自分」が「他人」だったら。周りみんな俺。ユートピアがひろがる。しかしながら直視したくない自分ってのが、いる。認めたくないあいつも俺。ユートピアかと思えたそこがディストピアに変貌する。他人が自分ではなく他人であること。自明すぎるくらいに自明でありながら、根本的なストレスとなり得るそこに真っ正面から切り込んだ怪作。自分を信用するのは思いの外難しい。しかし誰もがそれを望んでいることに希望はある。

2017/04/22

きっしぃ

俺が増殖って、バカバカしい話なのかと思ってたら、だいぶ違った。ブラックなのか、シュールなのか、痛々しい気持ちになればいいのか、なんなのか…。うーん…。読んだタイミングが悪かったのもあり、最後流し読みでした…ごめんなさい(´・ω・`)

2017/12/04

Tui

自分みたいな人や、同じと思える相手といるのは、心地よくて正直ラクちんだ。でももし、周りがそんな俺(私)ばかりだとしたら、そこは果たしてユートピアだろうか。自分みたいな相手を仮に見つけても、自分ではもちろんないから、いずれ相違点が気になってくるだろう。さらに似ている点そのものが嫌いになったら、相手は憎悪と抹消の対象となるだろう。その先にあるものは、推して知るべしだ。似てる似てない、合う合わない、といった主観から自由な付き合いができたら、どれだけ気楽だろう。私の皮膚感覚にとって、えらく切っ先鋭い本でした。

2017/10/03

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