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私が語りはじめた彼は (新潮文庫)

私が語りはじめた彼は (新潮文庫)

私が語りはじめた彼は (新潮文庫)

作家
三浦しをん
出版社
新潮社
発売日
2007-07-30
ISBN
9784101167558
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私が語りはじめた彼は (新潮文庫) / 感想・レビュー

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HIRO1970

⭐️⭐️⭐️毎回ながらしをんさんの文章が美しく、そしてその無駄の無さに驚きと憧れすら感じます。序盤はただの短編集かなとおもいつつ訳も分からず読み進めましたが、中盤以降になって表題の意味がようやく判明してきました。一人の人間に纏わる関係者の話題でこれだけ多くのドラマを書き出して尚且つ本人は全くと言っていいほど登場しない話を読んだのは初めての経験でした。何とも凄い構想力でまたその創造的な構想を実現する言語と文章力の凄さに参りました。この時、著者はまだ20代でこの先どこまで着いて行けるのか心配になってきました。

2015/06/07

さてさて

人は誰であれ、その存在によって他の人に影響を及ぼしていくものです。この作品では、村川融という存在が彼の人生に何らかの形で関わっていく主人公達の人生に影響を及ぼしていく様が描かれていました。短編ごとに語られる村川融の存在が短編を経るごとに大きくなっていくのを感じるこの作品。短編ごとに『バイク』や『ぬか漬け』、そして『うさぎ』などを短編世界に意味を持って登場させることで、物語に不思議と深みを与えていくのを感じるこの作品。美しく綴られていく物語の中に、今のしをんさんらしさに繋がるこだわりの感情を見た作品でした。

2023/01/05

SJW

沢山の浮気を繰り返す大学教授の村川融と彼を信奉する浮気相手の女達、それに関わる男、息子、娘たち。それぞれに闇を抱えた各章の主人公が疑い、悩み、苦しむ。所々に唸るほど巧妙な文章が出てくるが、何故か引き込まれない。沢山の浮気で妻や家族を取っ替え引っ替えする話に感情移入できないことが原因だと思う。

2018/04/29

風眠

はじめの切羽詰まった気持ちの時には「ごっこ」でもいいと飛び込んでしまう。そこには確かに幸せの形があったのかもしれない。恋愛ごっこ、夫婦ごっこ、不倫ごっこ、家族ごっこ、自殺ごっこ、悲しいごっこ、満たされごっこ。けれど心の熱が冷め、自分たちという形を冷静に見られるようになると、今度は不安や恐怖でがんじがらめになってしまう。「ごっこ」でもいいと、かつては一途に信じていた愛が亡骸になっても、空っぽになった愛にしがみつき、諦められなくて、認められなくて。人の心はいつだって不条理を抱えている。だからこんなにも苦しい。

2019/05/03

Koning

村川教授という気の多いおっさんの周りで振り回される人々の連作短編。怪文書に振り回される弟子から妻に娘に息子、それも前のとか義理のとかもついちゃう。後編に行くに従ってどんどんきっついよーという話になってくる。シチュエーションが特異に見えるけれど、考えれば人間こんなもんでもあるという話ばかりで、なんとも。でもこれはページ数以上に面白い。

2016/01/13

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