きみはポラリス (新潮文庫)
きみはポラリス (新潮文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
タイトルがいい。11篇からなる短篇集だが、アンソロジーで求められたものと自らが選んだ「お題」から書き起こしていった、いわば題詠のような手法をとったようだ。そして、全体を貫流するテーマは「恋」。ただし、ストレート勝負ではなく、それらのいずれもが変化球。例えば、男子高校生の同級生の男子生徒への秘められた恋あり、また幻の誘拐犯との淡い恋もどきの物語ありといった具合に。どのお話もそれほどに深刻なものではなく(当事者にとってはそうではないかもしれないが)、軽妙洒脱に変則的な恋の物語が語られる。
2023/05/26
HIRO1970
⭐️⭐️⭐️しをんさんの本年の一冊目。短編集です。テーマが何なのかよく分かりませんでしたが、様々に異なる設定を良くこれだけ量産できるものだと感心しながら読み進みました。表題名の作品が短編集には無く何だか謎解きみたいな終わり方でしたが、後書きの解説を読んでからようやく疑問が氷解しました。後書きの解説は先に読まない方が良いケースだと思います。
2015/01/21
ろくせい@やまもとかねよし
自分を確認するとき、周囲への利他性と周囲からもらう利他性は重要要素。11短編で記した10の利他とその取り扱い。男が男に抱く性的欲望を超越した利他性。恋愛を軽々超す母の子供への利他性。殺人に至った利他的行為の不毛さ。少し変わっている対象にも抑えられない利他性。傍若無人な祖母が示す悲劇的な利他行為。浮気夫であっても発する利他行為を甘受する虚構。植物しか頭にない彼でも発するの利他性。過激なロハスで気付く強いる利己的利他行為の虚構。猫ですら発する利己性がない利他性。死を抱えながらも発せられる利他的行為と思い遣り。
2022/01/04
にいにい
またまた、三浦しをんさん。今度は、恋愛短編集?。甘い恋話じゃない。だけど、心に残る恋、相手を思う気持ちを表している物語が次々出てくる。一遍一遍を何度もじっくり読みたい作品集。純文学的なものから、コミカルなもの。人間の男と女だけではなく、様々な恋、熱狂的な思いが押し寄せてくる。しをんさんのホワイト面、ブラック面が垣間見える楽しい一冊だった。また、ゆっくり。読み返したい作品集。
2014/02/19
めろんラブ
ポラリス=北極星とのこと。この恋愛短篇集を読み終え、あらためてこれ以上ないタイトルだと感じ入りました。きみはポラリス。揺るぎない光となって、心の内で恒久的に輝き続けるひと。恋によってもたらされたものが、たとえ苦々しい現実だったとしても、そういうひとを宿している限り無敵に思えそう。恋愛小説には触手が伸びない性質(たち)ですが、名匠・しをんさんに心地よく乗せられて感傷の泉へダイブ。心の砂漠化がひととき止まりました♪
2014/01/15
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