藪原検校 (新潮文庫 い-14-15)
藪原検校 (新潮文庫 い-14-15) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
表題作『薮原検校』は、1973年に初演された井上ひさしの戯曲。東北地方随所に残る座頭抹殺の伝承に材を得て書かれたもの。全編にわたって、いわゆる差別用語がこれでもかというくらいに羅列される(ついでに放送禁止用語も)。また、言葉だけではなく、内容的にも極めて差別的なものである。もちろん、これは井上ひさしの強い確信のもとになされたものであることは言うまでもない。すなわち、この劇は「スケープゴート」に対する強いプロテストなのだ。随分勇気もいっただろうと思う。エンディングの迫力と、観客の万雷の拍手が答えを出した。
2014/09/27
Aya Murakami
図書館で借りた本。 東北(かな?)出身の盲目主人公が悪の限りを尽くしながら江戸も街に流れ着き、やりたい放題の栄華を極め、最後には…。な話でした。 塙保己一との比較が本書であらわされているように特に高尚な理想や思想のない主人公が本能や欲望の赴くままに悪事を働く姿にはスカっとした快感を覚えます。悪事を働くには変わりないのだから理想に基づく悪事よりも欲望に基づく悪事のほうが一般受けはいいだろうしのほうがリアルなのでは…?と感じてしまいました。
2018/07/01
桜もち 太郎
物語は江戸時代、盲目の杉の市が座頭から最高位である検校まで上り詰めていくお話。親、師匠などを殺しながら悪事を重ね、金の物を言わせて得た地位。とにかく悪事に徹する姿勢が凄まじい。そして最後の処刑シーンは度肝を抜く。戯曲として書かれたもので、舞台が目に浮かぶような作品だった。とにかく面白い。
2014/09/05
法水
リチャード三世ばりの悪党を描いた井上ひさしさんによる偽評伝。PARCO劇場での上演に合わせて読んだのだけど、歌詞が結構聞き取りづらかったので、事前に目を通しておいてよかった。歌詞以外の台詞もリズミカルで声に出して読みたくなること請け合い。「金壺親爺恋逢引」を併録。あとがき代わりの長めのエッセイはその後の戯曲の原型ともなっている。
2021/02/15
ryoko
野村萬斎の藪原検校、楽しみです。
2015/01/17
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