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イーハトーボの劇列車 (新潮文庫 い 14-20)

イーハトーボの劇列車 (新潮文庫 い 14-20)

イーハトーボの劇列車 (新潮文庫 い 14-20)

作家
井上ひさし
出版社
新潮社
発売日
1988-01-26
ISBN
9784101168203
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イーハトーボの劇列車 (新潮文庫 い 14-20) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

イーハトーボといい列車といい、タイトルからして、もうひたすらに井上ひさしが敬愛してやまない郷土の大詩人、宮沢賢治への熱烈なまでのオマージュである。賢治が日蓮宗信者であることが強調されるところは、やや私の持つイメージとは齟齬があるのだが、この劇では詩人や童話作家としての賢治ではなく、思想家としての賢治に主眼が置かれているからだろう。「デクノボー」の日蓮にこそ魅かれるとする賢治像は、確かな説得力を持っている。劇の前半はコミカルに進行し、後半では社会批判に重点を移すが、エンディングは限りなく哀切に満ちた光景だ。

2015/02/04

がらくたどん

読書家様の御感想に「懐かしい!」と感激していたら、あめさんの「肺魚」名取さんの「野亜高校」と賢治に呼ばれちゃったので(笑)世間知らずで甘ったれだけど純粋無邪気で心から「ほんたうにいいこと」をしたかった賢さんは、あの手この手を考えつけるほどには賢くて藻掻いて試してみたけれど、やっぱり自分の力ではどうにもならない事も知っていて。だからせめてと「デクノボー」の自覚を胸にトランク一杯の修正の未練だらけの原稿をぶら下げて「思い残し切符」を蒔き続けているよ。滑稽だね、間抜けだね、哀しいね、でもありがとね。そんな戯曲♪

2024/10/01

東谷くまみ

賢治ってイタい人だったんだろうなぁ。本人は至って真面目にまっすぐ純粋な気持ちでやってるんだろうけど、どこかズレてるんだよね。お金持ちのボンボンで夢見がちの理想至上主義者🤔それでも賢治の農民を思う気持ちに絶対嘘はなかったし、底抜けのお人好しで本当に優しい人だったんだと思う。幼少期から弱い体、どうやっても超えられない父、頑張っても認めてもらえない羅須地人の会の活動…ずっと“負け”続けている人生。でも「自分は弱い」って知っている人って私は信頼できる人だと思うし、尊敬する。だから私は賢治が好きなんだと思う。→

2021/07/12

にいたけ

生きているこの世の中を幸せにする。賢治は困っている人達にお金を出さない実家が嫌だった。富んでいる人達が貧しい人達にもっと目を向けてくれたら、、、本気で実現できると信じて法華経徒になったり羅須知人協会つくってみたりした。純粋なのである。自分が率先して良いことをすれば人を良い方向に導くことができる?幸せを科学で解明すれば人々は理解出来るはず!そんなことでは人は動かない。失望して裏切られてそれでも後に託す願いは私達にしっかり届いた。気付ける人が増えると良いな。

2024/09/30

syota

井上ひさしの宮沢賢治に対する傾倒ぶりが伺える戯曲。賢治や父母、妹トシなど実在の人物はもちろん、西根山の山男や銀河鉄道の車掌など童話の作中人物も登場し、現実と幻想とが交錯する舞台が繰り広げられる。井上作品らしい笑いもあって、賢治ファンなら間違いなく楽しめると思う。特に花巻署の刑事と賢治とのやりとりは圧巻だ。農村にユートピアをつくると意気込む賢治と、苦しい農民の実態を知らないおぼっちゃんだと両断する農民出身の刑事との対決を通じて、賢治の純粋さと危うさの両面が浮かび上がってくる。できれば一度舞台を観てみたい。

2020/11/10

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