國語元年 (新潮文庫 い 14-23)
國語元年 (新潮文庫 い 14-23) / 感想・レビュー
みのゆかパパ@ぼちぼち読んでます
正しい日本語を広めようとする無名の国語学者や 明治期に話し言葉の全国統一に挑戦した役人など 日本語に携わった人たちの姿を描いた戯曲集。テーマとしてはそそられたのだが 言語の配列が狂ってしまった人の会話や 多種多様な方言でつづられたセリフの数々は すっと読むのも一苦労。舞台で見るならどうかはわからないが 活字で読むには適してなかったかも。言葉を取り巻く問題で考えさせられることもあったが、全体としては好みではなかったかな。
2010/12/24
moonanddai
「図書館の魔女」を読んで、「ことば」の連想から…。「図書館の…」のモチーフの一つは「言葉が違っても(あるいは、無くとも)」つながることの喜びだとすれば、この本は「言葉が違ってつながらないことの悲しみ」みたいなものでしょうか…。「国語事件…」の花見、「國語…」の南郷と、「果敢に」言葉に突進して、見事に粉砕した、井上作品の登場人物らしい「まっすぐな」人たちで、やはり読後感は悲しい。
2018/03/09
しぐれ
全国の話し言葉の統一 難しい。 だいたい通じればいいと思う。
2013/02/02
J。
戯曲版「国語元年」では、「標準語」の台詞に「方言」でルビが振られている(!)。実際、こうした案内がなければ訳がわからないほど複雑多様で 豊かな方言の世界が、実に心地良い。小さな共同体の言葉のもつ濃密な表現力。方言バンザイ。
2011/09/30
つまみ食い
言語への学識と構成の技倆に唸らされる。言葉遊びを多用し、歴史に翻弄される庶民の陽も陰も描く感じはシェイクスピアの戯曲を思わせる。表題作國語元年では、作中で言われているような現実を鏡のように映す(つまりあらゆる言語の中で最良の)言語など存在しないということが何度も失敗する写真を撮るという行いに重ね合わせられているようで面白い
2021/01/18
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