新々百人一首〈上〉 (新潮文庫)
新々百人一首〈上〉 (新潮文庫) / 感想・レビュー
がらくたどん
本棚整理。「何代たっても滅びない百首を私は選んだ」ってかっこいいぞ。著者が25年かけて選んだ和歌集。25年分の思索の結晶なので読めども読めども。二条后の「うぐいすの氷れる泪」があれよあれよと芭蕉の「魚の目は泪」に繋がったりと着地の見えないスリルが楽しい。無人島に持っていくなら本書か「薔薇の名前」か迷うところ。上巻には林望氏との対談のおまけつき。「実事はあったか?」を理解の根幹に据え人が人に恋する(乞うる)事を貴ぶ姿勢は大野晋氏との源氏鼎談時と変わらず。(実事についての考察の本領発揮は下巻で堪能できます)
2021/03/10
ケンサン
上巻は、春から冬まで。藤原定家の小倉百人一首の向こうを張るつもりで編集されたとのこと。何分、生活に和歌の要素が皆無のため、良いねで終わってしまう。様々な技巧が紹介され、また恋歌以外のものもほとんど恋に関係しない歌はないとのこと。男女の関係性も今とは大きく違い、明治維新で多くの制約が加えられ、現在に至っている。天皇の恋歌は日本文学の象徴だった…浮世離れした話と言われるかもしれないが、時代が違うと片付けず、一つの歴史として何か学び取ることが必要なのかも…現在小説でも衝撃的な作品に出会うことを考えれば。
2022/05/01
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