文学のレッスン (新潮文庫 ま 2-12)
文学のレッスン (新潮文庫 ま 2-12) / 感想・レビュー
ヨーイチ
久しぶりの丸谷才一。巻末の書物に圧倒される。俺は文学では無く文芸ばかりだなぁ、と嘆息。巻末でインタビュアーの湯川豊が「現代文学に繋がった立場からの発言言」といった意味のまとめをしているのは大事。もっともジョイスもマルケスも未読とあっては話にならない。随筆と戯曲の項目は珍しくって面白かった。改めて思ったのは丸谷才一は評価の表現が多彩で、かつ批判の場合は上品を心掛けているなあ、という事。友人、師匠筋でも此れは同じ。これも芸であろう。語り口だけで十分楽しめる。続く
2015/07/27
ドン•マルロー
インタビュー形式で丸谷氏があらゆる文学ジャンルについて語る文学講義本。この手の本をこれだけ面白く、しかもちっとも飽きさせることなく読ませるのは丸谷氏くらいのものだろう。氏の膨大な読書量や博識ぶりは勿論、ミクロな分野を文明論的に解釈しようとする広い視野や斬新な切り口を導きだす慧眼には舌を巻かざるを得ない。時に論旨がカジュアル過ぎる方面へ行くにも関わらず、文学講義本としての品位を毫も損なってはいないのはそれらの裏打ちがあってこそのものに違いない。文学そのものであったひと丸谷才一の真骨頂を存分に堪能できる一冊。
2016/05/23
Kouro-hou
晩年の丸谷先生がインタビュー形式で語る文学薀蓄。長篇小説、短編小説、歴史モノ、批評、随筆、戯曲などのジャンル別に熱く語ります。もう素晴らしい文学ヲタクぶりです。もっと長生きして欲しかったなあ。小説の部では先生は登場人物の魅力を重要視されていて、純文学ではキャラ魅力は重要ではないという当方の思い込みを改めたり。森鴎外の登場人物は面白くないけど晩年の史伝三部作では面白くなっており、特に最後の「北條霞亭」は素晴らしい文章力でいかに彼がつまらない人物だったかが面白く書かれている、という辺りは妙に感動しました。
2015/03/08
トンボ玉
面白かったし文学談義を堪能しました。読みたい本も沢山できました。伝記や批評も好きなのでその項目は取り分け面白かったです。演劇論では井上ひさしを激賞していて「ブレヒトをこえる」なんて、井上の現代性を指摘してるのは井上の青春ものにせよ面白く感じない自分には目に鱗でした。詩論も詩心のない自分には刺激的でした。歌詞はいいメロディがあるから心に届く、詩が分かる人は詩の韻律を音楽のように感じれる人だからと敬遠してました。また「詩は文芸の中心である」という言い方には納得してませんでしたが、その意味がよく分かりました。
2014/07/04
春ドーナツ
読了後、頭が風船のようにパンパンに膨れ上がる。そこには、文学の神羅万象がありました。私の夢は丸谷才一さんになることです。夢をみるなら、大きな夢を持とう。
2017/07/02
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