男たちのかいた絵 (新潮文庫)
男たちのかいた絵 (新潮文庫) / 感想・レビュー
kinkin
ジャズスタンダードのタイトルをつけた8篇。どの話もヤクザあるいはチンピラの兄貴と親分が主人公。単なるヤクザ小説でないところが筒井康隆氏の腕だ。氏が描く殺す、殺されるの世界は独特のブラックユーモアで溢れている。初めて筒井小説を読んだ方はその描写にコリゴリという人と、すっかり取り憑かれてしまうかのどちらかだと思う。読んでいて東映ヤクザ映画の故・成田三樹夫、室田日出男、川谷拓三氏の顔が思い浮かんだ。この小説を映画化出来たら監督は「パルプ・フィクション」のクエンティン・タランティーノがいいのかもしれない。
2017/01/05
hit4papa
本作品集は、性的倒錯者であるヤクザたちが主役です。歪んだ性癖を持つ輩たちが、グロテスクであり、物悲しくもある暴力の宴を催します。本作品集を初めて読んだのは高校生の頃。同性愛もSMも獣姦も知らない無垢な少年の心が、土足で踏みにじられたように感じました。そして、すっかりリビドーに目覚めてしまったようです。以来、親に隠れて著者の作品を読むのが、自分の密やかな楽しみ。今から思えば、実に可愛らしいものです・・・という懐かしい作品。豊川悦司主演で同名タイトルが映画化されています。
2020/04/04
TATA
小学生の頃、自分のお小遣いで初めて買った小説は星新一さんの「ようこそ地球さん」だった。巻末に筒井康隆さんの短編集が紹介されてて、親に読みたいと言うと、まだ早いと言われたのを思い出す(笑)。まあ、確かにこの作品は小学生は読んじゃダメだな。筒井さんが描くとヤクザものはこうなると。具体的な紹介は他の方にお任せしますが、いつもの黒い成分がたっぷりの作品でした。
2019/09/13
detu
スタンダードジャズのタイトルに合わせて、アブノーマルな性癖を持つヤクザが暴れまくるお話し。「二人でお茶を」今で言う乖離性同一障害。「嘘は罪」文字通り虚言癖。「素敵なあなた」アニマルラブなどなど、筒井ワールド全開。三十年以上前に読んだのに全く色褪せていなかった。
2018/03/24
saga
【再読】同時に『プリズンホテル』を読んでいることはセレンディピティと言えるかも。しかし、著者の描くヤクザの世界はかなり倒錯している。いきなりのホモ。そして終いには獣姦だ。各短編のタイトルもふるっていて良かった。
2017/11/24
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