着想の技術 (新潮文庫 つ 4-23)
着想の技術 (新潮文庫 つ 4-23) / 感想・レビュー
saga
読メ登録上は既読・読了日不明だが、果たして本当に読んでいたのか疑問。というのも、前半の「創作作法以前」「ユング「文芸と心理学」をめぐって」「虚構と現実」は、今読んでも難解だし、既読感がない。虚構の実験作である『虚人たち』は既読だったが、著者の主張の半分も理解できていないのではないかと感じた。後半はすいすい読み進められ、特に「楽しき哉地獄」はいつもの筒井節が全開のエッセイだった。解説は二十歳の頃の斉藤由貴! 私と同世代で、自分も高校生で筒井作品にはまっていただけに、懐かしいやら嬉しいやら。
2023/09/08
メタボン
☆☆★ かなり難解。これを読んで筒井康隆の方法論がわかったなどと考えたら大間違い。そしてやはり筒井康隆は方法論抜きに純粋に楽しんで読めればそれで良し。着想の技術、なんぼのもんじゃい(斉藤由貴の解説の締め。素直でよろしい。)。
2022/08/12
ぽち
文学指南書としては近刊の「創作の極意と掟」に比べるとかなり難解で、けれども本書には様々な媒体に著された文学論だったり文学エッセイだったり創作ノートの一部のようなものだったり、が収められていて、特におもしろかったのがあの「波」に掲載された自身の夢分析、そしてまた別の項では70年代のラテンアメリカ文学の隆盛と期をおなじくして著された「同時代ゲーム」「吉里吉里人」が成す蠕動、そして「虚人たち」へと貫通する、それこそ文学論としては新しくもなんともない、そんなことは頭のよい阿呆に言わせておけばよろしい。
2016/03/31
hikarunoir
服役や入院でなく不当な苦役で着手できなかった復讐。エッセイだけに全然技巧の参考とならないが、夢の羅列と自己分析が自分もしているだけに印象的。
2022/12/04
三柴ゆよし
新奇なる着想を得るための方法論というものでは全然ない。当時の著者のなかに沸々として在った文学的思考実験の数々を、思うさま開陳しているところが本書の最大のおもしろさだ。「われわれの日常の回想と同じ無数の繰り返しによる回想特有の思考と省略と引き伸し。それによる劇的な構成」。このへんのアイディアなんかは、『虚人たち』や『ダンシング・ヴァニティ』において昇華を遂げた一例だろう。この人の脳髄はホルマリン漬けにして残す価値がある。筒井康隆が正しかったことは、いまではみんな知っている。
2010/05/18
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