最後の喫煙者 自選ドタバタ傑作集1 (新潮文庫)
最後の喫煙者 自選ドタバタ傑作集1 (新潮文庫) / 感想・レビュー
徒花
品行下劣! ナンセンス! 非倫理的! だけどそれがおもしろいのだ。ほとんどの作品にオチらしいオチはなく、ただワンアイディアだけで短編を書き切る度胸もなかなかのものだが、圧倒的な文章センス(リズム感、言葉の選び方)によってそんな物語を最後まで楽しく読ませる手腕がやっぱりすごいよツツイさん。いろいろな雑誌に掲載されたものの寄せ集めなので、もうすこし時間をかけて煮詰めればもっと良いものになっただろうなぁと思う作品も多い。個人的にはやはり「問題外科」がスバラチイ。
2016/08/15
ehirano1
あまりに可笑しくて、は、は、腹が痛い。特に「急流」と「最後の喫煙者」。でもこれ、ちゃんと風刺になっているんですよね。流石でした。
2019/07/13
kinkin
筒井康隆氏自選ドタバタ傑作集というサブタイトル通り強烈な9篇が勢揃い。「急流」や「最後の喫煙者」は、今の世相をとっくの昔に予言していると思うし、「問題外科」のグロさには腰を抜かし、「ヤマザキ」や「万延元年のラグビー」は歴史をパロディ化している。どれも甲乙つけがたし。
2017/12/11
セウテス
昔の笑いは、たしかに笑ったなぁと思う。何故だろうと考えてみたが、その答えが本作に在るようだ。最近、山口百恵さんの歌を歌う若い歌手を観たが、当時と違い胸に響かない。たぶん、百恵さんからは愁いが伝わったからだろう。この所の芸人の笑いを楽しめなかったのも、それは私がナンセンスを笑っていたからなのだろう。本作はどの作品も、面白くて仕方がない。しかしその裏には、筒井先生が人をよく知っているから、そして本当の哀しみを知っているからなのだろう。ほぅそういうオチかというある種の読後感は、私がミステリに感じるものに通じる。
2021/05/28
びす男
ははは。初めて読んだ筒井康隆。目からうろこが落ちた。日本語って、こんなことも表現できるのか。こんなに超現実を生々しく描けるのは、漫画だけだと思っていた。ぼくは勝手に限界を決めていたようだ。日本語に失礼だった。ここまでめちゃくちゃな本は読んだことがない。だから、大満足だ。「説明はないのじゃ」、か。サイコーに痛快だ。ぼくは今まで、いつだって何かを説明するために日本語を使ってきた。それが一気に覆されるような体験だった。これはしめた、この作家から、しばらく勉強させてもらおう。
2017/07/15
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