文車日記 (新潮文庫)
文車日記 (新潮文庫) / 感想・レビュー
優希
つくづく古典文学が好きなのだなと思わされました。様々な作品への想いが詰まっています。慈しむように語るおせいさんの姿が目の前に浮かんでくるようでした。情熱とときめきが伝わってきて、古典文学を読みたいという気になります。古典文学を専攻していたので、昔は結構読んでいたのですが、最近はあまり読まなくなってきたので、これをきっかけにまた手を出そうかなと。
2017/04/07
naoっぴ
田辺聖子さんの古典愛あふれるエッセイ。古典文学は私にとって馴染みの薄い未知のジャンルでしたが、なんと優美で風情豊かなのだろうと、内に込められた芸術性にも感心しながら読みました。男女の機微やお洒落心は今も昔も変わりはなく、短い歌に込められた想いの深さに、わくわくしたり切なくなったり。もっと若い頃に知っていればと思ったけれど、和歌に込められた恋しい気持ちなんてオクテ学生だった私にはチンプンカンプンだっただろうな。きっと今だから良さがわかるのだろう。「伊勢物語」「落窪物語」「徒然草」など気になります。
2019/06/24
獺祭魚の食客@鯨鯢
「私の古典散歩」と副題の付けられた本書は私の古典探索の羅針盤になってくれそうです。六十余りあるエッセイは和歌を織り混ぜてその心情を読み解いてくれます。 「年上の女」という作品では、田辺さんは和泉式部の年下の恋人への歌「捨てはせんと 思ふさへこそ悲しけれ 君に馴れにしわが身と思へば」が一番好きだと書いていました。 イギリスやフランスの女性と異なり平安時代の大胆な行動は、田辺さん自信の生き方と重なる部分があったのではないかと思えます。
2020/03/07
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
田辺聖子さんが愛する古典文学紹介エッセイ。『更科日記』を紹介した「少女と物語」が本好きとしてはたまりません。1000年前の人も、読みたい本を手に入れた時のうれしさ、それを時間の許す限り読み続け、夜になっても寝る直前まで読まずにはいられないという気持ちを持っていたのだと思うと、平安時代の人も身近に感じられる。この本の中で紹介されている古典文学、原文では無理なので訳されたもので読んでみたい。
2015/09/09
がらくたどん
本棚整理。手元にあるのは74年の単行本。義務教育が終わるかな~くらいの年頃にソワソワしながら読んだ古典(といっても万葉・源氏から俳諧・落語まで)短編エッセイ集。今から見ると解釈が古かったり女性観・恋愛観を旧態然と感じる部分もあるが、作品と何より作品の登場人物への愛が溢れている。和泉式部の年上の女の恋心。落語「たらちね」の喜ィさんとお鶴さんの胸キュン新婚話。本編読まにゃ~となる。「あとがき」に、古典を「好きな指輪やブローチのように」愛しんでほしいとあるのだが、現代なら「読みたくなるレビュー」の代表格かも。
2021/03/11
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