スズキさんの休息と遍歴またはかくも誇らかなるドーシーボーの騎 (新潮文庫 や 35-5)
スズキさんの休息と遍歴またはかくも誇らかなるドーシーボーの騎 (新潮文庫 や 35-5) / 感想・レビュー
ねりわさび
全共闘時代に青春をすごした主人公と幼少の息子を乗せシトロエン2cvで日本を旅する物語。カラー印刷も目に鮮やかな挿絵は全て矢作氏の手で描かれる。ギャグと白日夢を組み合わせたような展開が目を惹く。筒井康隆が賛美した長編小説なのは頷ける作品。面白かったですね。
2024/07/14
ハチアカデミー
C- 四十過ぎの元革命戦士は、現在広告代理店でコピーを作ることを生業としている。彼の元に、かつての戦友から岩波文庫の『ドン・キホーテ』が届けられる。それを見た彼は、息子を伴い、愛車のドーシーボー(2CV)にのって、旧友を捜す旅にでる! 本としても、四色で印刷され、イラストなどが散りばめられた凝った作りである(円城『後藤さん』のような感じ)。と、書くとなかなか面白そうなのだが… 『ららら科学の子』、『あ・じゃ・ぱん』へと繋がる、過渡期の作品という感が否めなかった。伸び伸びと書かれてはいるが散漫すぎる…
2012/05/15
タカラ~ム
20年ぶりくらいに再読した。全共闘時代に属し学生運動に明け暮れていたときの精神状態のままオッサンになったスズキさんは、まさにドン・キホーテ。その熱さが時代とは完全にずれている。本書が刊行された1990年から更に25年が過ぎて、より一層と暑苦しさを忌避する時代になった。スズキさんはますます生きづらくなったのだろうと思う。
2015/01/08
キク
大好きな一冊。元全共闘闘士の鈴木さんの人をくった態度がたまらない。これぐらいでいいんだろうな、きっとと思える。
入江
「ねぇ、パパ。聞いてもいいかな」で、繋ぐ感じ。大筋しかなく、パパの考えを子どもという装置を使って強制的に聞かされる。斬新な言葉使いもあるが、同じタイミングで絵文字的な手法が飛び出すので、驚きは最初だけ。高校生が読む社会科学の本を乱雑にした感じ。ただ、唯物論的弁証法を「ピッチャーとキャッチャーが球が決まんなくてずっと首振ってんのと同じだね」というのは面白い。
2015/05/12
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