兵士に聞け 最終章 (新潮文庫)
兵士に聞け 最終章 (新潮文庫) / 感想・レビュー
hatayan
1995年の『兵士に聞け』から続いた自衛隊のルポの完結編。本作では、東シナ海でスクランブルに備えるパイロットの心情、2014年の御嶽噴火の救出現場の困難を紹介。 どの現場でも取材の締め付けが厳しくなっており、米軍との一体化などが背景にあると推測します。 自衛隊を描く手法を解釈や論に頼るのではなく、隊員ひとりひとりの囁きやつぶやきといった「細部」を直接拾い集めて試みたこと。それは作家・開高健に倣ったと記します。 平成の自衛隊の現場を鮮やかに切り取った作品として「兵士」シリーズは末永く読み継がれるはずです。
2019/08/04
James Hayashi
自衛官の現場を取材した兵士シリーズの最終作。平和を興ずる日本の中でヒリヒリ感じる死の恐怖。彼らの飛行は死と隣り合わせ。尖閣国有化後、危険度も増している。自衛隊設立時に吉田首相がコメント「君たちが日陰者である時の方が国民や日本は幸せなのだ」と。彼らの存在理由をもっと大きく唱える為、改憲する必要があるのかもしれない。普段は無機質な機材やコンピュータと向き合っている隊員だが、彼らのプライベートな生活や馴れ初めを織り交ぜ、密度の濃いルポを読むことができた。
2020/04/06
H
遂に渾身の自衛隊ルポが終わってしまった。自衛隊が取材を受け入れなくなってしまったことが残念だし、心配でならない。
2020/08/23
くらーく
杉山さん、長い間の自衛隊シリーズの終了、お疲れさまでした。「兵士に聞け」は、単行本で随分と厚い本だった記憶がありますが、最終章は、文庫で300ページ余り。自衛隊の変遷もあるけど、杉山氏の年齢もあるんだろうなあ、と勝手にしみじみしてしまう。 本書を読んでいると、何だかアメリカ軍西太平洋方面軍日本支部って思えてしまうよね。しかも、中国、北朝鮮、ちょっとロシアとの最前線。とても、辛い立場だと思うのだけど。 しかも、仕事に対して感謝するどころか、存在自体を否定される事もある。本当に良くやってくれているなあ自衛隊。
2019/12/21
ぱぱみんと
現場での取材を積み重ねて、そこにある「細部」や「匂い」を丁寧にひろい集めることで、目に見えにくい「リアルな世界」を明らかにしてくれる、根気強いルポルタージュです。とりわけ、御嶽山での救援活動は、自衛隊の人にしかできない過酷な活動だったことがつづられていて、胸を打ちました。
2019/10/17
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