通夜の情事 (新潮文庫 ふ 18-12)
通夜の情事 (新潮文庫 ふ 18-12) / 感想・レビュー
おしゃべりメガネ
本当にステキな中年を書かせたら右に出るものはいないと思わせる藤田さんの短編集です。ステキといっても、特別容姿がいいワケでも、ちょいワル(死語?)でもない、ごくごくフツーのオッサンですが、自分が10年、もしくは20年経った時にこういられるか、いれたらいいかも、そんな風に思わせてくれる作品でした。タイトルだけみたら、どこぞの官能小説か?と思われますが、中身はそんな風ではなく、あらゆるシチュエーションの中年男性が‘活躍’してくれて、世の男性に「活力(元気)、勇気」を与えてくれます。還暦にビビってはいけませんね。
2013/12/07
ケイ
もうすぐ還暦だけど、まだまだがんぱりたい!って言う前向きさがあまりなく、どこか後ろ向きな感じがある。今の自分やその生活をこわさないこと前提って感じて、そんなに都合よくはいかないんじゃないかなと思ったり。恋愛したいなら渡辺淳一ぱりに思い切りのよい方がいっそ清々しいものなのかも。恋愛でなくても、何かが起こるのを待つのでなく、自ら探していく前向きな姿勢は、青年でも壮年でも、還暦あたりでも、男女の差なく、はたから見てもいいものだろうなと思った。
2015/05/07
ふじさん
以前雑誌で書評を読み、買った本。初読みの作家の作品。表題作「通夜の情事」は、大学時代の友人の通夜で出会った女性との一晩限りの情事を描いたもので、気だるさややるせなさが余韻として残った。「喧嘩の履歴」のバーでの夫婦の会話がいい。「返り咲き」の思いがけない結末も面白かった。「ミスター・ロンリー」の見ず知らずの男の「過去」「現在」に立ち会うことになった男の話もいい。還暦前後の男たちの姿を優しく洒脱に描きだした短編集。何となく出てくる音楽、映画等の時代背景が自分の生きた時代と重なり懐かしさを覚えた。
2021/11/10
かんらんしゃ🎡
表題作はタイトル通りの期待を裏切らない話であった✧♡♡☆彡 6編全てでいろんな形のアラカン夫婦を綴っているのだが、男目線で都合よすぎな部分が多く女性読者からは不興を買うかもしれない。でも本筋は男の艶・色気の話なのだ。ダンディであろうとする話が女話になってしまうのは、これひとえに作者の趣味嗜好なのでしょう。ま、男なんて可愛いもんだわさと一段上から見て頂けると助かります。
2019/01/06
keiトモニ
藤田作品の男性登場人物はこうも煙草を吸いますかね。出てくる男性皆咽頭癌じゃないですか。禁煙しなさい…。返り咲き野党先生“クリーンは結構なこと…しかし敏雄には奥行のない人間に見える…だから一票を投じない”…それが正しいです。漢字を読めない首相から政権を奪った時代ですから、その後の日本状況をみれば一目瞭然。まあ大手出版社営業部長を夫にする55歳のよろめき婦人もいないでしょう。解説の“読者の頭の中で自分の知った顔に面影がダブるような主人公達。そこがいい”ってね…確かにダブって身につまされますが、心に染みないね。
2015/07/07
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