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春風ぞ吹く―代書屋五郎太参る (新潮文庫)

春風ぞ吹く―代書屋五郎太参る (新潮文庫)

春風ぞ吹く―代書屋五郎太参る (新潮文庫)

作家
宇江佐真理
出版社
新潮社
発売日
2003-09-28
ISBN
9784101199214
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春風ぞ吹く―代書屋五郎太参る (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ミカママ

各小編のタイトルが、読後これほど身に迫ってくる作品も珍しいでしょう。親と子、師匠と弟子、そして男と女、それぞれを想い慈しみあう、江戸市井のものがたり。「花が咲けばその花に、空が青ければその空に、月が昇ればその月に祈りを込めまする」この言葉にしみじみできるあなたなら、この作品を楽しめるはず。私も祈りを込めながら、静かに読み終わりました。

2015/10/30

優希

面白かったです。純愛を貫く真っ直ぐな五郎太がいじらしい。幼馴染の紀乃に想いを寄せつつ、学問に励むのですが、どうも自信が持てないのが可愛らしいなと思います。学問も恋もままならなければど咤したくなりますね。一進一退の学問と恋、代筆業での様々な人との出会いで徐々に成長していく五郎太。最後の告白はよく言ったという感じです。駄目なところも沢山あったけれど、最後にはきちんと春風を吹かせた。まさに「春風ぞ吹く」ですね。

2017/03/04

タイ子

先日のアンソロジーの中で宇江佐作品があったので改めて再読してみた。初読み感覚で読めるのも嬉しいのか、情けないのか…。小普請の身で内職に代書屋を務める村椿五郎太。学問吟味に合格して御番入りをするしか今の身分を抜け出すすべはない。のんびり屋の五郎太の背を押したのは幼馴染の紀乃の存在。今の身分の男に大事な娘はやれぬと紀乃の父親。五郎太の周りに起こる騒動で学問一筋とは行かず、仲間のため、師匠のため東奔西走の日々。人と人の繋がりは大事にせねばということを最後に教えてくれる。まるで「春一番」が吹いたような胸の内。

2022/02/17

じいじ

 ほっと心和む、満足感いっぱいの余韻に、まだ浸っています。主人公は、25歳の野暮で武骨で閑職に甘んずる青年武士・村椿五郎太。相思相愛の幼馴染み紀乃との婚姻は「うだつの上がらぬ輩にはやれぬ…」と父親から通達が…。そこで、一念発起する五郎太が目茶目茶カッコいい。人と人の繋がりが丁寧に描かれています。人への思い遣りの大切さが胸に沁みてきます。夫を亡くした母と息子、手習い所の先生との師弟の絆、同輩との友情…著者の温かさが伝わってきます。男の嬉し涙、花婿の感激涙の場面が、まだ残っています。宇江佐さん傑作の一冊です。

2016/04/25

ふじさん

宇江佐真理の作品の中では、大好きな作品の一つです。主人公の村椿五郎太は、25歳独身で先祖の不始末と野心に欠ける性格でうだつの上がらない小普請の身。そんな五郎太を焦らせる存在が、幼馴染の紀乃、恋を成就させるために、学問所の試験の合格に向けて、代書屋をしながら挑むことのなる。代書屋に持ち込まれる騒動もなかなか面白いが、一進一退の恋と学業の行方がどうなるか、最後まで読者をハラハラドキドキさせる。五郎太の個性や周りを取り巻く人々の個性が際立ち、楽しく読み切ることが出来る1冊。

2024/09/22

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