深尾くれない (新潮文庫)
深尾くれない (新潮文庫) / 感想・レビュー
ふじさん
深尾角馬は、短軀な男で反骨心が強く、二度にわたり不密通の妻と間男を切り捨て、娘の縁談がこじれた原因で相手方の父子を一刀のもとにを切り捨て、最後はその責任を取り切腹。限りなく紅牡丹を愛し、無骨に生き剣客の壮絶な生き様を最後までを妻や娘の目を通して描いた異色の時代長編小説。丁寧な取材や資料を読みで、深尾角馬の心の闇を存分に描いている宇江佐真理の力作。孤高の剣客、真の侍ここにあり。
2021/06/04
優希
実在の人物を登場させて描いた異色の時代小説という印象でした。牡丹を愛し、深尾紅と名付けているのが麗しかったです。ただ、何とも言えない読後感の作品でした。姦通のために妻を斬り殺すという狂気。真の侍魂がそうさせたのかもしれませんが、その後も娘の不始末相手の父や兄弟まで討つというのはどういうことかと思えてなりません。最期は凄絶だと思いますが、剣に向ける生き方や牡丹の愛し方に狂気を感じました。どうも好きになれない作品です。
2016/01/19
ぶんこ
最初から最後まで好きになれませんでした。 角馬もふきも、ふきの母かのも好きになれない。 頑固で短慮。 後先考えない結果が起こした自業自得。 天晴れな剣豪とも思えない。 実在の人を書いたからか、説明も多く、かなり斜め読みしました。
2016/01/13
keiトモニ
深尾角馬の人間性、大いに問題あり。短躯の如き短慮なり…。深尾紅、いい名じゃござんせんかと思ってたら、結局角馬は理解不能な乱心者ですね。軽々に人を斬るなよ。短躯が性根を捻じ曲げた、アホそのもの。“摩利支天は儂に夢想驪龍剣を伝授してごされた。夢想驪龍剣…?かのには荒唐無稽な芝居の一幕のようにも感じ…”かのさんの方が考えが確りしてますよ。夢想驪龍剣など摩利支天様は伝授されません。“儂の跡継ぎじゃ。雖井蛙流を後世に伝えて貰うんだ”勝手にせい。しかし女性達の身持ち悪さよ。殿方は尾羽打ち枯らした田舎侍にもなるわい…。
2015/11/19
KEI
どっしりとした時代小説で読了まで時間が掛かった。実在の剣豪・深尾角馬の剣に向ける生き方や深紅の牡丹への思い入れは、家族から見れば狂気にも思えたのかも知れない。角馬の人の愛し方、表し方が下手だったのは、その生い立ちにもあるが、妻を不貞へ走らせた事は角馬の足りないところだと感じた。作者は深尾を見事な武士、世に伝えたい人物として本書を書いたと後書きにあったが、角馬の最期は見事だと思うものの、愛すべき主人公とは思えなかった。妻・かの、娘・ふきの視線で描かれていたのは、作者が女性ならではの描写で良かった。
2015/05/24
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