日傘のお兄さん (新潮文庫 と 17-2)
日傘のお兄さん (新潮文庫 と 17-2) / 感想・レビュー
うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
「あわになる、日傘のお兄さん、すこやかだから、ハローラジオスター」以前単行本として発売されたものを、文庫化するにあたって大幅に改編されたものです。「日傘」は、タイトルからほのぼのとしたお話かと思いきや、ロリコンという設定にまず驚きました。とはいえ最後は妙に清々しい昇華したような気持ちで読み終えることができたのが不思議です。「ハロー」は世の中そんなに甘くないよと、主人公に対して反感を覚えながらも、それでもそれが若さってことなのかなと妙に納得しました。機会があれば単行本の方と読み比べてみたいです。★★★
2013/06/03
じょんじょん
豊島ミホさん『檸檬のころ』『青空チェリー』の読後、煌めくような青春の感情の切り取りが素晴らしいと感じました。本作は女性を主人公とした短編4篇ですが、表題作で最凶ヒーローの「お兄さん」と「なっちゃん」は、沼田まほかるさん作品のようなイヤミス作品になってしまうのだろうかと、心に暗雲がたちこめ始めましたが、ラストではやはり豊島ミホさんらしい煌めく感情の切り取りを感じました。ただし、その煌めきはピュアピュアではなく、氷柱のように扱い方で大けがをするような峻烈さを秘めたものではないかと。改稿前の作品も読みたいです
2020/02/22
dr2006
特殊なシチュエーションの短・中編集。うゎっニッチ!と思ったけど、あの「青空チェリー」の豊島さんだからこそ成立するプロットだとも思う。なかでも表題作「日傘のお兄さん」は、ロリ・ニート・病弱なお兄さんときた⒲両親の離婚で小さい頃住んでいた土地を離れ、現在中学生になった夏海の前に、両親の不仲のせいで独りぼっちの夏実といつも遊んでくれた憧れのお兄さんが現れた。突然の初恋の相手との再会だった。夏実とお兄さんの危険な逃避行が始まる。大ファンの豊島さんの未読作品が残り少なくなっていくのが残念⤵もっと書いて欲しいよ~。
2023/06/26
絹恵
帰りたくて、帰れなくて、帰る場所はあるのに帰ることが出来ないこの寄る辺ない気持ちを、ずっと見透かしてほしかったのだと思います。それでも、淋しさの向こう側にいたあなたに会えたから、死の影に怯えさせることも、刺すような光のなかで孤独にさせることも、そしてたとえ季節を忘れてもあなたを忘れてしまうことはないから。会いに行くことが帰ることだと気づけたから。
2015/08/07
ゆにこ
「日傘のお兄さん」は主人公がどうなってしまうのかと少しハラハラしながら読んだけど、彼女が傷付かないラストで良かった。
2014/03/19
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