この世にたやすい仕事はない (新潮文庫)
この世にたやすい仕事はない (新潮文庫) / 感想・レビュー
starbro
図書館の新刊コーナーで見つけて読みました。芥川賞作家、津村 記久子、初読です。マニアックな仕事小説連作短編集でした。ライトなお仕事小説ではなく、純文学らしく摩訶不思議な雰囲気・世界観です。オススメは、『路地を訪ねるしごと』です。著者の他の作品も読んでみたいと思います。
2019/01/21
さてさて
生きていく中で欠かせない仕事に苦労はつきものです。この作品では”お仕事小説”として描かれる作品の中で、退職を決意した理由に光を当てた物語が描かれていました。人が退職を決意することは人生の中での大きな決断です。それでもその先に進みたいと決意する瞬間、そんな決意に秘められた思い、この作品では転職を繰り返す主人公の『私』視点で仕事に対する違和感がどこに芽生えるのかという視点が描かれていました。主人公の『私』が感じるとても納得感のある転職理由の一方で、この作品の書名がどこまでも頭の片隅をよぎる、そんな作品でした。
2022/07/09
エドワード
主人公の名前がないので、NHKドラマに因んで仮に恵里菜としておく(笑)。恵里菜は正社員として十四年間働き、燃え尽き症候群?で退職、今は職安の紹介で仕事に就く日々だ。彼女は実に優秀である。それは、自分で考え、判断できるからだ。技術革新で、近いうちに無くなる職業が取り沙汰される昨今。通訳もいらなくなるらしい。でも、最後まで残るのは、人間にしか出来ない<とっさの的確な判断>だ。彼女は大丈夫。ここに出て来るバス会社やあられ会社が実にのどかでいい感じだ。最後に彼女の元の職場が福祉の現場とわかる場面が微笑ましい。
2018/12/09
ミカママ
静かなおもしろさ、というか。僭越ながら、津村さんのユーモアのセンスがわたしのソレにしっくりくる感じ。どれもあり得そうもないニッチな職業なのだが、個人的には森の中の小屋の番人に惹かれる。パンノキ、ハワイに売るほど生ってたよなぁ。ちょっと学生時代に単発でやった、電話番の仕事(座ってるだけで日給1万円だった)を思い出した。今思うと、ヤバい事務所だったのかも(笑)
2024/11/21
niisun
津村記久子さん8冊目。こんなに楽しませてもらってるのに本棚を見ると全て文庫版で、申し訳ない気がしてきました(笑) お馴染みのお仕事小説ですが、今回はちょっと斜めから攻めてる感じですね。長く続けた仕事をバーンアウトした主人公が、それまでの仕事とはかけ離れた仕事に就いては辞め就いては辞め。自分の価値観では、一見すると楽そうな仕事も、就いてみれば、あれやこれやと色々ある。まさに『この世にたやすい仕事はない』。私も職種こそ変えていないものの、今の職場は4社目。私が得た教訓は、『この世に完璧な会社などない』ですね。
2019/03/08
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