あとかた (新潮文庫)
あとかた (新潮文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
スタイリッシュで都会的な小説だ。感性の掬い取り方が独特で巧い。6つの連作短篇は、いずれも空虚感が漂う。とりわけ冒頭からの3篇がそうだ。それぞれの小説中の男も女も、実態があるようでいて、その実、関係性が希薄だ。そこが、この小説特有のリアリティだといえばそうなのだろう。篇中では「うろこ」がもっとも情念的だ。藤森サキ(名前には違和感が拭えないが)の存在感と、(甘ったるくはあるが)松本の存在は読者の共感(少なくても男性読者)を拒まない。巻末「ねいろ」の「たとえ明日、世界が終わるとしても…」は、明らかに語り過ぎだ。
2016/10/28
ミカママ
千早さんの言葉の選び方がとても好き。たとえ明日世界が終わるとしても、何を遺せるものではなくとも、人は恋をしてしまう。
2016/10/24
❁かな❁
やっぱり千早茜さんの作品大好きです♡私が初めて読んだ千早さんの作品は『あとかた』です*文庫化されたので再読しましたが素晴らしいです!男女の心の痛み、切なさ、孤独感など色んな愛の形をとても丁寧に描かれています。大人の恋愛連作短編集*千早さんの静かでありながら激しく燃えるような想いに胸が苦しくなり涙が何度も溢れました。以前読んだ時以上に「ゆびわ」がとても切なくて思い切り泣いてしまいました*すごく大好き♡「うろこ」はキュンときて「ねいろ」「ほむら」も良かったです♬千早さんの作品1作未読なのでそれも読んでみます★
2016/03/21
馨
とある男に関係した人たちの短編集。恋愛小説ですが、どの話も暗めで、痛々しいシーンもあるからか文章は難しくないのに雰囲気が何だか読みづらいなあと思いながら読んでいたらラストの2作『うろこ』『ねいろ』が良かったです。『うろこ』の主人公の友達の啓介の言葉が良かったです。
2019/05/18
遥かなる想い
ひどく たおやかな連作 恋愛短編集である。 男と女が 奔放に 体を重ねながら、 冷静に 日常を過ごしていく。 現代に生きる 恋人たちの 不安定な 心の揺れを 軽やかに描いた、短編集だった。
2019/11/09
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