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花伽藍 (新潮文庫 な 41-3)

花伽藍 (新潮文庫 な 41-3)

花伽藍 (新潮文庫 な 41-3)

作家
中山可穂
出版社
新潮社
発売日
2004-09-01
ISBN
9784101205335
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花伽藍 (新潮文庫 な 41-3) / 感想・レビュー

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優希

何でこんなに苦しくなるんだろう、そう思わずにはいられませんでした。女性の同性愛の物語ですが、そのままのテーマだったり、遠くにぼやけるようだったり、その描き方は様々です。日常の前に好きな人と過ごした濃密な時間と肌の質感がリアリティを持って迫るからこそ切なくて胸がしめつけられました。無垢で生々しい愛の歓びと痛み、そこから生まれる孤独が鮮やかで激しく迫ります。エロスとタナトスの香りに体が泡立つのを感じました。情動的な愛と堕落が紙一重になった世界は美しく、面白かったです。

2015/08/12

エドワード

女と女の愛は寂しい。強烈な「鶴」。夫のいる田鶴子を愛した私。太鼓の音、刺青、狂気、そして悲劇。一転してユーモラスな「七夕」、喧嘩別れした私は偶然出会った知人の男と飲み、妻が出張中の彼の家へ行く。それいけ!と勢い込んで入った風呂場で見た七夕飾り「二人とも健康で楽しく暮らせますように」-だめだこりゃ。「花伽藍」は、もうこれでしょ。そんなヒロシに騙されて。憎みきれないろくでなし。中山可穂さん、同世代だね!明るい時代の歌謡曲。女と女の愛にも高齢化社会は容赦ない。ここまで描くか、と思うほどの「燦雨」はマジで預言書。

2017/02/05

じぇりい

「鶴」「七夕」「花伽藍」「偽アマント」「燦雨」の5編からなる短編集。同性愛をストレートに、どこか遠くに匂わせたりと、いつもと違う軽やかな文章で書かれる物語たち。「もっと息苦しいのが読みたいの」と思ったらラストの「燦雨」で唸らずにはいられない。出会ってからの情熱を引きずったまま歳を重ねた女たち。老老介護がテーマですよ。その最期はあまりにも切ないけれど、ふたりにとって一番理想的なものだったのかもしれない。

2016/02/06

ハッピーエンドだと思う。 どんなに辛い描写が続いても、「花伽藍」「燦雨」を読むと、これが一つの到達点だと思わざるを得ない。20代から晩年まで、女性同士の恋愛を描いた作品としては今までで一番生々しく、登場人物に寄り添って読めた。登場人物が年を経るごとに、純粋に抱える感情に男女の垣根は無くなっていく。恋愛の行き着く先に、性別は関係ないのだと思った。男同士だろうと女同士だろうと異性同士だろうと、最期は共に逝きたいと願うのだろう。

2016/11/01

tona

異性間だろうと同性間だろうと、人を愛するは結局難しい。生きている限り、人間は一人であり、もしも誰かと一体となれる、あるいは相手を独占することできる瞬間が存在するとすれば、それは「燦雨」にあるような死の瞬間だけなのだろう。今まで読んだ中山作品で一番よかった。特に「鶴」は美しくて、本当に惚れ惚れする。

2014/11/29

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