三省堂国語辞典のひみつ: 辞書を編む現場から (新潮文庫)
三省堂国語辞典のひみつ: 辞書を編む現場から (新潮文庫) / 感想・レビュー
penguin-blue
三浦しおんさんの「舟を編む」は楽しんで読んだものの、あくまで小説の中のお話だと思っていた。恋模様のことではなく、限られた文字数の中で、遊びがなさそうに見える辞書の収録語に対して、作中人物達が取り組む姿勢の真摯さは嘘でないにせよそれなりにデフォルメされたものなのだろう、と。しかしながら、実際の辞書の現場から生まれたこの本の中に展開する世界はまさにリアル「舟を編む」。何より辞書の言葉というものは固まったものなのではなく、時代の流れに合わせてふくらんだり形を変えたりするものなのだ、というのが非常に印象深かった。
2017/11/05
tomi
「三国」というと「辞書になった男」でも描かれた、ケンボー先生こと見坊豪紀氏が初代主幹を務めた辞書。現在、編纂に携わっている著者が辞書編纂の舞台裏を書いた一冊です。日常会話やスーパーなど街なかで使われている言葉も丹念に拾い、時にはライターを分解して仕組みを調べたり、あまり生で食べないグアバを入手して味わってみたり(味は薄いらしい)…といった苦労話が興味深く楽しい。現代語を重視して、シンプルで中学生でも分かりやすい説明が特色だという「三国」。愛用しているのはライバル?の新明解だが、こちらも使ってみようか。
2019/10/11
緋莢
日常語から若者語・難解後までを視野に入れ、独自の視点で編まれる『三省堂国語辞典』。「的を得る」、「汚名挽回」は誤用ではない、従来の意味に加えて加筆された「やばい」という言葉、用例をスーパーで採集した言葉「ポーション」などなど 見坊豪紀の魂を継ぎ、書籍、雑誌、看板やメニューから用例採集をする著者がことばにまつわる様々な説を検証、辞書を楽しく活用して欲しいと願って書いたエッセイ。
2017/05/05
メルル
これはあとがきにあるように完全に辞書の副読本だった。とても興味深く楽しく読めた。しかし三国を引きながら読んだ方がもっと楽しかったと思うし、三国を持っている人は読んで損はないと思う。新しい用法用例が増えることも多々あって戸惑うことも多くなった。そんな時に自分も年を取ったと感じる。自分の若い頃は簡単に新しい言葉を受け入れて行けたけれど、今は難しい。ライターの意味には納得できない自分がいる。辞書一冊調べただけでわかった気になるのはまだ早い。
2017/02/28
aloha0307
三省堂国語辞典(通称:三国)を本のように読んでいたのは小学校高学年の頃であったろうか。同じ言葉を他の辞書でも調べてみて、辞書でもそれぞれ個性があるんだってわかった。三国の特徴は「要するに何か」がわかることだと作者の言。その「要するに」が難しいのですね。一般化し、本質を抜き出して...ある意味、芸術ですね。とても興味を惹いたのは、”ナウ(い)”という言葉の70年代終わりからの変遷でした。また、三国は”w(ワラ ワラ)”も項目出ししているそうです。言葉はホントに生き物なのですね。
2017/07/09
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