〈映画の見方〉がわかる本 ブレードランナーの未来世紀 (新潮文庫)
〈映画の見方〉がわかる本 ブレードランナーの未来世紀 (新潮文庫) / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
80年代にカルト的ヒットを飛ばし、後世の映画にも影響を与えた映画を当時の社会情勢や監督の生い立ちも交えて解説。主に紹介されている映画で観たのは、たった二本のみ。しかも他の映画についても縦横無尽に語られるので観たい映画が増えるわ、増える(笑)不遇時代の監督を支えたのには妻の影あり。個人的にトラウマ的な映画が印象的なリンチ監督はアメリカの江戸川乱歩的存在だったのか・・・。しかし、ヴァイオレンス描写で有名なSF作家ハーラン・エリスン氏のハリウッドへの大クレーマーぶりに最初は驚きつつもどこか、腑に落ちたり。
2018/01/05
海猫
7本の映画を解説した映画評論本。1980年代の作品群ではあるが、当時のアメリカ映画界ではアウトサイダーだった「映画作家」をチョイス。なので作品論ではあるけれど、映画作家論としての性質を併せ持つ一冊。私としては特に響いたのは「ロボコップ」を扱った章。ヴァーホーヴェン監督作品は異常な暴力性が凄まじく、オランダ時代に撮った作品や「グレート・ウォリアーズ」など説明を読んでいるだけでドキツさにくらくらする。「ブレードランナー」も改めて読み解く文章を読むとまた見たくなった。もちろん他の5作に関する文章も面白く読んだ。
2020/07/23
アキ
町山氏の映画評論は、過去の映画へのオマージュや原作との世界観の違い、同時代の政治や時代背景、生活やファッションまで幅広い分野でアメリカという国の一面を炙りだす。ブレードランナーでは、80年代のポストモダン、40年代のフィルム・ノワール、ヤン・ファンエイクの絵画の凸面鏡まで指摘し飽きることがない。レプリカントに記憶を植え付けることができるという設定が、人間という存在をとたんに不安定にさせる。なぜなら記憶とは単に過去の出来事ではなく「自分とは何者であるか」という認識そのものだからだ。本質はレプリカントという⇒
2019/10/03
ムッネニーク
61冊目『〈映画の見方〉がわかる本 ブレードランナーの未来世紀』(町山智浩 著、2017年11月、新潮社) 映画評論家の町山智浩が解説してくれる、80年代の名作8本。それぞれの作品の監督たちの半生も紹介してくれているが、そのいずれもがかなり衝撃的。偉大な映画監督は1日にして成らずということか。 『ヴィデオドローム』の解説は大変ありがたい。この映画は本当に難しかった。 〈表現すべき自己などない「本当の自分」などと言い続ける私たちはみんな、レイチェルと同じ、自分が人間だと夢見ているだけのレプリカントなのだ。〉
2021/07/09
Vakira
町山さんの映画紹介は自分のノーチェックの作品を知りその情報源と、かなりディープなしかし見たくなるような解説がうまいと思う。紹介された映画は機会があったら見てみたい。今回この本は全て自分が見ていた作品。それも全て僕の大好きな監督の作品だ。デビッド・クローネンバーグ、ジェームス・キャメロン、テリー・ギリアム、オリバー・ストーン、デビッド・リンチ、ポール・ヴァーフォーベン、リドリー・スコット。超嬉しい。大好きな作品を再回想してまたまた楽しい。関連雑学情報がまた楽しい。知らなかった作品をまた知る。嬉し~
2017/11/14
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