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欺す衆生 (新潮文庫)

欺す衆生 (新潮文庫)

欺す衆生 (新潮文庫)

作家
月村了衛
出版社
新潮社
発売日
2022-02-28
ISBN
9784101212722
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欺す衆生 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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W-G

以前から気になっていた一冊。分量を感じさせない熱量の詰まった作品で、とても面白く読めた。実際の事件を下敷きに、描くところはじっくり、それ以外の枝葉の部分はかなりざっくり簡略化。たとえば、隠岐がここまで因幡に見込まれた理由にイマイチ説得力がなかったり、何かあるたびに旧横田商事から簡単に人員補充がきく都合の良さであったり、リアリティの欠如になりかねないポイントも、旨味のある場面の書き込みをしっかり行うことにより、上手な取捨選択が出来ているように見せる。ピカレスクロマンとも読み味の違う、サラリーマン的犯罪小説。

2022/04/13

sin

昭和の終わり、報道番組の画面は衝撃の事件を伝えた!詐欺商法で追及を受けた豊田商事会長の刺殺実況である。この物語はその事件に倣って始まり、やがて経済犯罪を繰り返していく営業マンの汚れたビジネスを物語として展開していく、しかし詐欺は架空のモノを取引するから犯罪だが、現実の社会でも紙一重で一歩間違えば犯罪行為すれすれの金儲けはこの世界には往々にして存在すると思う、資本主義の矛盾を感じて止まない。経済とは権力と欲望と云うマントルに支えられた幻影かも知れない、それはいつの日かマネークエイクとして社会を揺さぶるのだ!

2022/05/25

PEN-F

詐欺で騙し取ったお金も、必死こいて働いて得たお金も、貨幣としての価値は同じ。同じ一万円で購入できるものだって同じだけど、そこは何かが決定的に違うと思う。たしかに仕事は楽しいときよりしんどいときの方が遥かに多いし、朝は早いし夜は遅いし体はガタガタだし、俺の辞書には商売繁盛なんて文字は無いし...。それでも一応、お天道様には顔向けできるし、...ってか別にお天道様はどーでもいいけど、自分の子供に顔向けできるってのが一番大事だと思う。

2023/03/28

優希

山田風太郎賞受賞作。悪事に手を染め、次第に詐欺の才能を開花させる恐ろしさ。経済ヤクザも生まれ、大金を奪い取ることに疲れるのが恐ろしい。大金をめぐる遊戯の果てに見えるものは何かハラハラしながら読みました。

2023/12/26

かぷち

現代版・国盗り物語のような話。序盤は主人公の偽善性に苛々し、700ページ超えの大作に不安もあったが、中盤以降奔流に呑み込まれるかのような怒濤の読書体験。嘘で塗り固めた人生、虚像がいつしか実像を凌駕する。人は自身を騙し人生を演じているのか、社会が人を騙し人生を演じさせているのか。圧巻です。

2023/02/20

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