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辰巳八景 (新潮文庫)

辰巳八景 (新潮文庫)

辰巳八景 (新潮文庫)

作家
山本一力
出版社
新潮社
発売日
2007-09-28
ISBN
9784101213422
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辰巳八景 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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じいじ

 江戸の下町辰巳(深川)を舞台にした八つの話。作者の温かい人柄で綴られた人情話は、とても味わい深く読み心地よいです。ろうそく屋、煎餅屋、鳶職、医師…など一話一話が主人公の職業を中心に、町民との解け合う様子が丁寧に描かれています。宇江佐真理が描く江戸下町話と、またひと味違った江戸情緒が楽しめて面白いです。「女房ひと筋が、本当の男の甲斐性」と仲人の苦言で所帯を持った鳶の夫婦。妾宅に入り浸る亭主の弁解「血を分けた赤子が欲しいだけだから…」を、懸命に信じようとする女房のいじらしさが何とも切ないです。【仲町の夜雨】

2018/02/17

タイ子

タイトル通り8つの職業が8つの景色の中で8通りに描かれる短編集。どの物語のどこを切り取っても江戸で暮らす市井の人々の家族の為、仲間の為、好きな人の為に生きる姿がたまらなく愛おしい。地震もあります、江戸の大火もあります、浅間山の噴火もあります、赤穂浪士の討ち入り後もあります。本作を読んだだけで元禄から天保を知ったようでちょっと気持ちいいかも。一力さんの筆力はやはりすごい! どれも好きだけど、煎餅屋の娘を書いた「永代寺晩鐘」がお気に入り。決して添えない人に別れを告げるシーン…う~ん、いい!

2018/03/07

コージー

江戸の市井の人々の暮らしが、とてもよくわかる。この時代のいろんな職種の話がでてくるが、内容が事細かくて、そういったところで生きている人々の、ふとした心の動きを捉えるのが、山本さんはとても上手だ。八つの短編だが、あとからじんわりやってくる。「佃町の晴嵐」江戸時代はこの火事が怖かっただろうなあ、それにしても悲しい。「石場の暮雪」解説者の実話かな。良かった。

2015/02/22

シュラフ

江戸の街を舞台とした八つの物語。題名の通り、たしかに辰巳八景だ。物語の展開に、特に事件性とかドラマチックなものがあるわけではないが、人々の喜怒哀楽、男女の恋の物語、などがあり、何百年も前の江戸の街に住む人々の息吹きが強く感じられる小説だ。今の東京には江戸の街の風情を楽しめる場所は少なくなったが、それでも江戸の人たちは色々な思いをもって大川(隅田川)とか江戸の街のあかね空を眺めたんだなと思うと、同じ場所にたって暮らしているんだなと妙な共感をおぼえる。We Love Tokyo だ。      

2014/03/16

佐々陽太朗(K.Tsubota)

江戸深川を舞台にした市井時代小説です。「辰巳」とは江戸深川のこと。深川は江戸城の辰巳の方角(東南)にあたるからです。山本一力氏が長唄『巽(辰巳)八景』に材を得て紡いだ八篇の物語です。八編とも極上の物語です。それぞれ味わいが深く、私は一篇読み終えるごとにしばらく心地よい余韻に浸りました。中でも「永代寺晩鐘」と「やぐら下の夕照」が秀逸。

2010/07/11

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