数学する身体 (新潮文庫)
数学する身体 (新潮文庫) / 感想・レビュー
夜長月🌙@新潮部
数学にまつわる新奇な概念を伝える書。数学史、数学が生成する建築(例えば三鷹生命反転住宅)、数学→コンピューター→AI、数学的情緒。コンピューターを生み出した数学者チューリングの言葉。「学生が働き出すまでに20年かかるなら、思考するコンピューターにも20年いろいろな体験(登山、旅行、料理・・・)を積ませないとならない」。コンピューターが生まれるまでにすでにAI的な思考があったことを示します。
2020/07/19
南北
読友さん本。知的好奇心を刺激してくれる好著。前半は数学史を外観したもので、負の数や虚数が当時の人々に理解できなかったのは、幾何学を起点としていたため、物理的にあり得ないものは認められなかったというのは腑に落ちた。後半は「数学は情緒である」で有名な岡潔の話が中心となる。天才が語る尖った言説のように感じていたので、積読本のままにしていたが、また読んでみようと思うようになった。「人間の認知は、身体と環境の間を行き交うプロセスである」という著者の言説が印象に残った。
2021/02/16
コットン
若くて目覚ましい成果を上げた研究者である『独立研究者』という独特な立ち位置の著者による数学的歴史を追いながら身体能力と数学の関係性について論じている。数学者アラン・チューリングと岡潔についてスポットが当たっている。 余談としては自分の知識不足だが、近代哲学の父デカルトは記号代数の表記(未知数がx,y,zで既知数がa,b,c)を現代的な形に定着させた人だったとは知らなかった。
2024/01/21
なる
生身の体にはない、正確で確実な知である数学。身体を超えて行こうとする行為であったという数学に再び身体の息吹を取り戻そうとする試みだと本書は言う。数学に知見のない人間でも意外とすらすらと読むことができてわかりやすい。スービタイゼイション(瞬時に数を把握する能力)のメカニズムはとても興味深いし、0を含むアラビア式の算用数字がどれほど革命的なことであったか、素数への異常な執着をもつ数学科の人間、マグロの推進力の研究から得られた仮説(海水≠障害物)、唐突に放り込まれる荒川修作のエピソードなど面白い。
2021/10/18
takaC
読み通すのに数学的予備知識は不要という著者の言葉通りで、哲学者のような内容だった。
2018/11/24
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