タックス・シェルター (新潮文庫)
タックス・シェルター (新潮文庫) / 感想・レビュー
まつうら
証券会社の財務部長というカタブツの男が、ひょんなことから大金を手にしてその魔力に嵌っていく物語。経済小説というより、大人のラブロマンス的な色彩が強い。タックスヘイブンを駆使したダークな金融取引を期待していただけに、ちょっと残念だ。しかし、作中で中学生が問いかける税についての質問が鋭く突き刺さった。税金は国を維持していくために必要で、税金がないと警察や救急が機能しなくなり、みんな困ってしまう。しかしみんな税金を少しでも払わずに済まそうと行動する。この矛盾はどうして??? ぱっとは答えが思いつかなかった。
2022/11/07
幹事検定1級
真面目な銀行マンが亡き社長から預かったケイマン諸島の預金を自分の意思と反し持ちかけられた友人らによって大きく資産を増やし、金銭感覚が狂い出し、大切な人達を餌にされ揺すられ破滅して行く経済小説。タックスヘイブンに群がるのは大金持ちでしょうから、無縁の世界ですが非常に楽しく読ませて頂きました。解説で竹中平蔵さんがおススメしていた筆者の日本国債という作品もぜひ読ませて頂きます。
2018/05/25
tolucky1962
最近プチマイブームの幸田真音さんの金融小説。 主人公は生真面目さ故に投機話に引き込まれしまう。なんとも悲しい話である。 解説にもあったが、幸田さんならではリアルさに引き込まれる。 個々の場面、登場人物が金融分野の様々な様子を知らせてくれる。タックスヘイブン・無謀な投機ギャンブル・企業内のドロドロ・税務官の生きざま・淡い大人の恋。 小説の終わり方は難しい。7章はなんだかなあと思ったが、そのあとのエピローグで国税庁の有紀が調査しているときの心情を思うとぐっとくる。
2016/06/24
miyatatsu
難しい金融用語や金融システムなどが出てきていないので、経済小説を余読んできていない人にはとても読みやすく、内容がわかりやすいのでおすすめしますが、経済小説を読み慣れている人にはちょっと物足りないかもしれません。
2018/11/11
Walhalla
私の好きな作家さんのうちの1人です。 今回は、ケイマンや香港の金融機関を利用した租税回避のお話しですが、どちらかと言うと人間関係をメインに描かれた作品で、堅苦しい感じはなく、とても読みやすかったです。そして面白かったです。 欲を言えば、マネーロンダリングのスキーム等がもう少し詳しく書かれていれば、もっと楽しめたかなと思います。 幸田真音さんの経済小説作品は、いつも勉強になります。
2015/10/30
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