ライオンハート (新潮文庫)
ライオンハート (新潮文庫) / 感想・レビュー
さてさて
最初の章である〈エアハート嬢の到着〉で一気にこの作品世界に引き込まれました。あまりの緊迫感にこちらも冷や汗が出る思い。ところが、次の章である〈春〉は全く違う世界観。最初の章のような緊迫感もなくすっかり油断をしていたところにミレーの風景画、春?まさか?という展開に思わず興奮!全く意識に止めていなかった最初の挿し絵を思い出して、ページを戻してしまいました。総じて独自のファンタジックな雰囲気をただよわせながら、それでいて心地良い余韻を残すような結末。すっかり恩田ワールドに魅せられた作品でした。
2020/11/25
しんたろー
時空を超えた恋&輪廻を恩田さん流に描いたファンタジー。イギリスの歴史文化に疎い身としては細部での面白さは判らなかったが、雰囲気を味わうだけでも素敵な絵画を眺めるように楽しめた。SFとしてはルール性のなさが気になるが、矛盾をも超えた恋愛と考えれば何となく納得できる。生涯で僅かな時間しか巡り会えないが、場所と時代を超越する切ない恋…世俗にまみれた私には良い意味で「夢物語」としてウットリしたし、チョッとしたミステリ要素も入っているのも嬉しかった。題名の基になったというケイト・ブッシュを久々に聴きたくなった🎶
2019/01/18
SJW
17世紀のロンドン、19世紀のオックスフォードとシェルブール、20世紀のロンドン、パナマ、フロリダ。時空を越えて男と女は何度も出会う。結ばれることはない二人だけど、深く愛し合っている二人のSFファンタジー小説。時代と場所がころころと変わるため付いていくのが大変だった。アン・ブーリン、メアリー、エリザベスが出て来たのはちょっと引いてしまった。
2018/12/26
佐々陽太朗(K.Tsubota)
時空を越えて出会い、すれ違うことを運命づけられた二人の物語。あとがきを読んで分かったのですが、この物語を書くきっかけになったのはKate Bush の曲"Oh England My Lionheart"だったとか。SMAPでなくて良かった。(笑) 恩田さんは1978年の東京音楽祭を中継したTV番組で"MOVING"を歌っている彼女をご覧になったそうです。私もその番組を視て衝撃を受けた一人です。当時、恩田さんは中学生、私は大学一年生。その時、私はこの本を読むことを運命づけられたのかもしれない。(笑)
2012/06/30
kishikan
ライオンハートっていえばSMAPの歌しか知らなかったので、恩田さんの「ライオンハート」が前から気になっていました。でも、読み始めは結構辛いものがありました。どうもヨーロッパテイストの小説って苦手なんです。風景が浮かばないんですね。ところが、何篇か読み進め「ずっと昔にあった人の記憶が、世代を越えて蘇るなんてことは」という会話で、混乱していた頭がクリアに。そうなると、これは至上のLOVE STORY に変わるんですね。すごいよ、恩田さん!各章の絵画もストーリに華を添えています。時空を超えた愛の形って切ない。
2015/11/10
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