図書室の海 (新潮文庫)
図書室の海 (新潮文庫) / 感想・レビュー
さてさて
10の短編からなるこの作品。サヨコと会える!「図書室の海」。誰が登場するのかと思ったら関根秋君のお姉さんでした。そして、サヨコよりももっと会いたかった融と貴子が登場する「ピクニックの準備」。前夜のワクワク感が楽しめるこの喜び。そして「春よ、こい」。春の霞の中のような茫洋とした薄桃色に彩られた世界。この世界観で書かれた長編を是非読んでみたい、そう思いました。ということで、短編集なので一気に読み終えてしまったこの作品。何だか不思議なまとまり感もあって、とても楽しませていただいた、そんな作品でした。
2020/12/13
ちょこまーぶる
10篇の話の中に好き嫌いはあるが恩田ワールドに浸れる一冊であった。中でも読み進めて表題作を読んでいて、以前読んだことのある感じだなと思い、「六番目の小夜子」の番外編と分かった時の感激?たるや電車の中でニヤニヤしてしまいましたよ。また、映画で見た「夜のピクニック」の予告編もあり、映画も忘れかけていたので、絶対本を買わねばと思いましたね。そして、もっとも恐怖を感じたのは「国境の南」で背筋がぞっとしながら読み進め、喫茶店の頻繁の水の給仕に気を付けよう?と思いましたね。本当に恩田玉手箱のような一冊でした。
2015/09/05
hiro
恩田さんの同じノンシリーズ短編集の『私と踊って』を先に読んで積読本になっていたこの本を読むことにした。恩田さんの初期短編のためか、『私と踊って』ほど自由さがないが、逆によりいっそう恩田ワールドが楽しめたように思う。「ピクニックの準備」:『夜のピクニック』の予告編的な作品。あらめて青春小説の名作だと思う。「図書館の海」:デビュー作の『六番目の小夜子』を読んでみたくなる作品だった。その他「茶色の小瓶」、「イサオ・オサリバンを捜して」、「国境の南」が好きだ。でも『チョコレートコスモス』の続編が今一番読みたい。
2013/03/09
SJW
10作品からなる短編集で、「夜のピクニック」の予告編、「麦の海に沈む果実」に登場する水野理瀬の幼年時代、「六番目の小夜子」の番外編を含む。すでに読んでいるので本編との関係が分かると嬉しいがこれらを予告編として読んでから、本編を初めて読むのもありかもしれない。
2019/01/29
kishikan
久しぶりに読む恩田さん。といってもこの作品は平成14年に刊行されたもの。十の短編はホラーチックなものや青春ものなど、10の味わいがある。それに「六番目の小夜子」や「夜のピクニック」「麦の海に沈む果実」などにつながる作品もあって、恩田さんをいくつか読んできた方には是非にといいたい。僕の好みは「春よ、こい」「イサオ・オサリヴァンを捜して」「ノスタルジア」だけど、「オデュッセイア」はジブリ映画の「天空の城・・・」と「ハウルの・・・」を掛け合わせた話のようで面白い。とにかく、恩田さんは時間軸の使い方が上手い。
2015/12/12
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