朝日のようにさわやかに (新潮文庫)
朝日のようにさわやかに (新潮文庫) / 感想・レビュー
さてさて
『髪の毛だって、恋人の頭についていればとても愛おしいのに、離れてしまうとあんなに嫌なものってないわよね』と、そうだね、と納得してしまう〈深夜の食卓〉。『二十枚以内で』という条件下で『スプラッタ・ホラーをやってみた』という〈卒業〉。『どこからが作り話かは、ご想像にお任せする』とエッセイのような〈朝日のようにさわやかに〉など14編のホラーな世界。“ホラーなんてまっぴらごめん”という方にこそお勧めしたい”上手いな〜”という感想で終わる恩田さんのホラー。恩田さんの魅力をこれでもか!と満喫できる、そんな作品でした。
2021/04/20
風眠
少し謎めいていて、ブラックで、何とも形容しがたい美しさ。誰かと比べるなんて作家に対して失礼だと思うけれど、小川洋子の描く世界観に似ていると感じた。もちろん小川洋子も恩田陸も大好きな作家なので、これは褒め言葉だ。虚と実の狭間を行ったり来たりするように、さまざまな物語がこの一冊に収められている。ファンタジー、SF、ショート・ショート、会話劇、ミステリー・・・。絞っても絞ってもまだ何かがしたたり落ちてきそうな、そんな余韻を感じさせてくれる短篇集。語り過ぎず終わるラストの余白が、いちばんの読みどころだと私は思う。
2015/01/26
SJW
恩田さんの様々な種類の短編集。初めの「水晶の夜、翡翠の朝」は「麦の海に沈む果実」「黄昏の百合の骨」の番外編。ヨハン君のストーリーで、ゾッとする彼の一面がみられる。「あなたと夜と音楽と」はアガサ・クリスティの「ABC殺人事件」のオマージュという企画で書かれたもので興味深かく面白かった。他にファンタジー、ホラー、エッセイ(?)、意味不明な短編など盛りだくさんだった。
2019/06/15
ダイ@2019.11.2~一時休止
短編集。「水晶の~」は既読。あなたと夜と音楽と・冷凍みかん何かがイイ。
2017/01/07
yoshida
14の作品からなる短編集。最後に収録されている表題作が最も好み。掌編もあり、作品の好みは別れるだろう。異界が広がる作品もあれば、謎の事件を解き明かしたり、日常を描く作品もある。恩田陸さん独特の謎の災厄が襲う作品は安定感がある。個人的には、恩田陸さんの作品は長編が好みかな。やはり物語の厚みが欲しい。短編だと物語の厚みが足りずに飽きが来てしまう。正直、途中で読むのを断念しようと迷ったが何とか読了した。表題作は睦言の正体が意外で、なかなか読ませる。この作品が無ければ評価もかなり変わっただろう。好みの問題かな。
2022/05/08
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