私と踊って (新潮文庫)
私と踊って (新潮文庫) / 感想・レビュー
さてさて
『昼寝中の私の頭を踏み越えようとした散歩中の猫が、私の左の耳の穴に落ちてしまった』。そんなかっ飛んだ始まり方をする短編など19もの短編が収録されたこの作品。そこには、「図書室の海」、「朝日のようにさわやかに」に続く、恩田さんの三作目の”ノンシリーズ短編集”の姿がありました。さまざまなジャンルをつまみ食いできるこの作品。そんな作品の中に恩田さんらしさを垣間見ることのできるこの作品。短編でも決して消えない恩田さんの魅力溢れる作品世界の独特さに、恩田さんの個性の強さを改めて感じることのできた、そんな作品でした。
2024/02/08
KAZOO
これもこのお気に入りさんの感想で読みました。様々なジャンルの短篇を楽しめます。本のつくりも凝っていてこのような感じの作品集は大好きです。どれも趣向を凝らされていて特に表題作は好みです。読み終わるのがもったいない気がしました。
2015/09/28
hideko
短編集。ミステリー、SF、ホラー。 後は星新一さんを彷彿とさせるショートショート。…とバラエティにとんだ作品群。 文字のフォントをかえてあったり、横書きにしたり、さすがの陸さん。 私はショートショートが一番好みでした。 この方はミステリー作家とかファンタジー作家とか、ひと括りに出来ない。
2017/05/29
NADIA
ミステリ、ホラー、SF、ショートショートなど19編が収録された短編集。恩田陸の短編集は他にも読んだ事があったが、この一冊には何編かからりとした星新一色を感じるものがあった。中学生時代は星新一をよく読んだので、思わず懐かしさを感じた。一番印象的だったのは横書きの「東京の日記」。戒厳令下の日本の様子をわずかに日本の血が入った外国人の女性が日記に著しているという作品。2010年の作なのに微妙に未来が言い当てられていてどきりとする。あとがきで恩田さんが書かれているように、このような息苦しい社会になりませんように。
2017/11/02
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万華鏡のように、場面がくるくると変わる。時には幻想的な一面を。時には摩訶不思議な一面を。時にはぞっとするような一面を。ひとつひとつの短いお話の中にぎゅっと恩田さんの良さが凝縮されていて、すごく贅沢な短編集。くるくると変わる世界観にグッとひき込まれ、魅せられたとたんに突き放されるような、なんとも言えない魅力と読後感。「外に出るたび、風景も変わる。世界は動く。世界は予想できない。世界は固定していない。変わらないものなどこの世にない。」少女界曼荼羅の中のこの一文が、不思議とこの一冊の本にしっくりきた。
2016/03/04
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