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人の砂漠 (新潮文庫)

人の砂漠 (新潮文庫)

人の砂漠 (新潮文庫)

作家
沢木耕太郎
出版社
新潮社
発売日
1980-12-29
ISBN
9784101235011
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人の砂漠 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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遥かなる想い

もしかしたら、沢木耕太郎は、本書のような本を書くために、他の本を書いているのでは、と思うことがある。私はあまり興味ないが、文体が違う気がする。

2010/05/08

速読おやじ

沢木さんの若き日のルポ集。昭和52年当時の社会問題を深く揺さぶろうとする。どのルポも時代を感じさせるのだが、登場人物の言葉は生々しい。日ソ共同宣言当時の北方領土関連の話などは興味深かった。返還を望んでいない人々がいるという話は今は書けないのではないか。また不敬列伝という当時の昭和天皇や皇太子に対する投石等の事件の当事者へのインタビューも、今考えると凄い話だ。沢木さんの書き方がそうさせるのか、まるで今ここで起きているかのような、その人物が今話しているような感覚になる。タイトルの人の砂漠がまたいい。

2022/04/12

Y2K☮

初期の作品集。著者があまり顔を出さない従来のスタイルで文章も若い。一方で扱う題材はなかなか挑戦的。不敬罪、老詐欺師、元娼婦の暮らす施設、相場師など。与那国島と沖縄本島、台湾、そして本土の関係性に纏わる考察や近隣で生活する者が語る「北方領土返還論」に対する本音も興味深い。一般メディアの報道はつくづく大雑把で一面的だなと実感した。一定期間現地で暮らし、直接話を聞くフィールドワークを経て書かれた社会学的ルポルタージュは、オンラインで何でも見られる今こそ絶対的に必要。取材対象に肩入れし過ぎない信頼できる書き手も。

2021/08/25

みのゆかパパ@ぼちぼち読んでます

70年代後半に出版された沢木耕太郎のルポルタージュ集。取り上げられたテーマは多岐にわたるが、どの作品も丹念な取材によって見知らぬ世界に引き込む力があり、その時代を生きた人たちの生の思いが伝わってきて面白かった。とりわけ、「北方領土」と目と鼻の先で暮らす歯舞の人たちの話は、建前の報道からは見えてこない領土問題の複雑さが垣間見え、これまでの自分になかった視点を与えてもらった気がした。30年前の作品でありながら現代の日本が抱える問題にも通じることが多々あり、単にルポの傑作として以上の味わいがある一冊だと思った。

2011/10/17

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30年以上も前に書かれたルポなだけに、読んでるとそこかしこから昭和の香りが漂ってくる。 しかし、取り上げられている内容は孤独死であったり、最貧困女子に北方領土や与那国などの琉球民族問題、そして天皇と、今に置き換えても全く古さを感じさせない先見性は見事と言う他ありません。 しかも執筆当時、20代という若さでありながら著者の行動力は驚嘆に値します。 また「不敬列伝」の中で、あの「ゆきゆきて、神軍」という衝撃的なドキュメント映画に出演していた奥崎謙三の名前を見つけた時は「沢木さん、さすが」と唸らされました。

2015/10/01

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