【旧版】深夜特急1 ー 香港・マカオ (新潮文庫)
【旧版】深夜特急1 ー 香港・マカオ (新潮文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
再読。なんと言ってもネーミングの勝利だ。『深夜特急』第1便であってこそ、これほどに読者を引き付けるのだろう。これが『世界放浪記』第1回であったなら、たとえ内容は同じであったとしても、読者への訴求力はずっと弱かっただろう。かといって、本書がネーミングだけのものだと言うつもりはない。例えばマカオのカジノで、賭事には全く興味がなかったはずの「私」が、大小と呼ばれる賭博にのめり込んで行く時の自他を含めた観察眼と、そこに読者をも巻き込んで行く沢木の筆力とスピード感。これが単なる旅の記録と、紀行文学とを分つのだ。
2013/01/29
ミカママ
この作品を読んで、いったいどれほどがザックを背負って飛行機に飛び乗ったろう。全六冊手に入れたときには、おぃおぃ六冊って、『グリーンマイル』じゃあるまいし、だったのだが、読み出したら夢中だった。特に今作は、わたしも空気感がわかる世界。香港の街の飲茶屋やアバディーン、マカオではホテル・リスボア、筆者が歩いた約十年後に、わたしもその足跡をなぞっていたのだと思うと。無謀とも言える彼の旅、いたる所で幸運に助けられるのも、彼の持って生まれたツキと人当たりの良さの賜物だろう。
2020/11/14
抹茶モナカ
26歳の若者の一人旅の紀行文。香港とマカオでの様子が書かれていて、マカオのカジノでの博奕の模様が、最初、「おいおい。」と、思って読んでいたら、引き込まれてしまった。もっと若い頃に出会いたかった本。バックパッカーのバイブルと名高い名作。
2015/10/12
ehirano1
ワクワクが止まりません、流石名著と言われるだけのことはあるなと感服しました。開口健の「オーパ」でもそうでしたが、もう完全に脳内で著者と一緒に旅していますwww。こういうの楽しいぃ~~~。
2023/04/03
やすらぎ
予定などいっさい立てるまい。数日間の国内旅行程度の荷物で旅立った。さて、これからどうしよう…幸せだった。自分から話し掛けなければ外部から切り離されたひとりだけの時間を過ごすことができる。ある種の無重力状態は、刺激もないかわりに奇妙な安らぎがあった。…香港の熱量とマカオの臨場感、誰しもが陥るリスクのある街。人のため学問の進歩にも役立たず、真実を極め記録を作るためでもなく、血湧き肉躍る冒険でもなく、何の意味もなく誰にも可能で、しかし、およそ酔狂な奴でなくてはしそうにないことをやりたかったのだ。旅は生きている。
2021/04/21
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