【旧版】深夜特急4 ーシルクロード (新潮文庫)
【旧版】深夜特急4 ーシルクロード (新潮文庫) / 感想・レビュー
ミカママ
インド・ネパールを出た著者は、一路シルクロードへ。パキスタンだ、アフガニスタンだと言われても、わたし的にさっぱり土地勘(というか、地図のどこらへんか?というレベル)がないため、移入が難しかった。とにかくバスで西へ西へ、かつ少しずつ北上するイメージだろうか。相変わらず現地の人々、特に子どもとの親密さのやりとり(日本語変だが)が微笑ましい。旅が長引くにつれ、著者のくたびれ具合も増して、それと反比例して旅に対する熱量みたいなのが減ってきているのもリアルだ。
2020/11/18
ヴェネツィア
かなりのスピードでここまで読んできた。再読なのだが、ついつい引き込まれてしまう。この巻はシルクロード篇。前回が旅のハイライトかと思ったが、今回も負けず劣らずスリリングだ。紀行文学として白眉だと思ったのは、メシェッド(イラン第3の都市)でのくだり。同じヒッピーバスに乗っていたオランダ人青年が、物乞いの子どもたち2人に自分の持っていた、なけなしのお金を3等分して分け与えるところ。あたかも、上田秋成の『春雨物語』の「樊噲」で、主人公の大蔵が発心する契機となるシーンを思わせるようなエピソードだ。
2013/01/30
やすらぎ
アムリトサルの早朝、土埃が舞い、紅く大きな朝陽はまるで夕陽のようだ。インドを旅立つ時がきた。グッドラック。…絹の道に入る。鋭く切り立った崖、澄んだ水が流れる湖。ここは水が濁っていないのだ。…カブールの寒空に凍りついた私は疑問を抱く。人々の親切を受けることが旅の目的になっていないか。その親切を面倒に感じている。重症だ。…私には怖れがあった。数ヵ月の予定が半年になり一年になり、どれほどになるのか。モスクを吹き抜けるペルシャの風にあたり考える。やがて旅が終わったとして、その先にあるものとうまく折り合えるのかと。
2021/05/03
absinthe
バックパッカーの聖書第4弾。広大な中央アジアから西アジアへ。パキスタン、アフガニスタン、イランと乾いた砂のイメージ。ヒッピーや貧者や様々な人と出会い驚く。強かに値切り交渉をして必要なものを買い揃え、また次の街へ。情報溢れる現在と違い、情報収集に命を懸ける姿が異国の厳しさを感じさせる。100以上のホテルの中から目的の人を探し当てる姿はスパイもの小説のようでもあった。こういう強さが必要なんだな。
2021/01/07
zero1
インドを出た沢木はパキスタンからアフガニスタンへと西に進む。暴走バスはあちこちの国で見られる。はっきりと書いているが、旅も長くなると感受性が失われる。親切が煩わしくなるという点は私にも経験がある。テヘランで建築家の磯崎新と再会。「世界の半分」と称えられた古都イスファハンでフォアマンVSアリのボクシング世界戦「キンシャサの奇跡」をテレビで見る。「一瞬の夏」の沢木らしい。ということはこの旅が1974年であるということがわかる。また、改宗しベトナム戦争への抵抗を見せたアリがイスラム圏で人気なのも興味深い。
2019/01/14
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