波の音が消えるまで 第3部: 銀河編 (新潮文庫)
波の音が消えるまで 第3部: 銀河編 (新潮文庫) / 感想・レビュー
Y2K☮
ドストエフスキー「賭博者」と重なる点もありつつ、お金に対する執着心が決定的に異なる。西洋リアリズムと東洋の道の差、或いはルーレットとバカラの違いも影響しているのか。まともな社会人である著者が掴み掛けたバカラの法則を「果ての果てまで」追求しようと思ったら、こういう創作に託するしかなかった。でも苦難の先にようやく見出した答えの形も含めて、ある意味現実以上に容赦ない。ぞっとするほどシビア。それでいて航平はピュアだし著者はフェア。尚且つ優しい。人生そのものを溶かしたら元も子もない。波の音が消えても生活は続くのだ。
2018/07/18
マリリン
純粋なのか、と感じた。賭け事にハマるという事は。フィクションではあるがリアリティがあるものの、ここまでとことん追う姿を描いた事で、極まり転じる…を痛感。愚かとか、中毒などどいう言葉では表現しきれないものがある。最後の「読者へ」を読んで、沢木氏だから書けた作品だと思った。芯に流れるものに深い愛情を感じる。他の作品(沢山読んでいないが)もそう。乾坤一擲という言葉がある。全てを失った姿は、乾為天の上九でもなく坤為地の六でもない天地否の六三…か。よい作品だった。
2019/08/12
mztn
サーファーでカメラマンだった主人公が,サーファーとしての夢を捨てざるを得なくなり,帰国時にたまたま立ち寄ったマカオのカジノで,バカラの神秘性に取り憑かれ,確率論以上のものを探求していく中で,様々な人々との出会いと別れの物語.最後は,求めていた必勝に近い状況になるものの,その先の境地に達して,ある考えに行き着く.「深夜特急」でも味わったあてどもない旅に出る,ような感覚の小説.
2017/09/03
山目
破滅へ向う道、進まずにはいられない。ロマンである。現実に生きる身には、憧れるのみ。たどり着いた所もまた幻。救いはあったのであろうか?
2017/10/15
りん
2部からの流れで一気読み。とうとうここまで来たか…と思っていたら、唐突なエンディングに思わず"え”?。そこだけ違和感。航平の人生と束の間交錯して通り過ぎていくかのような人々の背負っているものが重く、切なかった。この全体に漂う茫漠とした寂寥感みたいなものがこの作品の魅力なのかも。それにしても航平のイイ男っぷりは完全に沢木氏本人に重なりますなぁ。
2019/02/20
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