オリンピア1936 ナチスの森で (新潮文庫)
オリンピア1936 ナチスの森で (新潮文庫) / 感想・レビュー
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
ナチスドイツの威信をかけて開催されたベルリンオリンピック。その全てを描いた記録映画の傑作「オリンピア」のように、日本選手達を描いたノンフィクション。当時は三段跳びや棒高跳びが日本のお家芸であり、サッカーや体操は全く人気のない競技だったとか、今とずいぶん違うのも面白い。単なるスポーツと平和の祭典ではなく、ヒトラーにより政治的に利用されたオリンピック。今ゴタゴタしている東京オリンピックもアスリート達よりはスポンサーの為のオリンピックとなっているのではないか?★★★★
2021/06/21
keroppi
図書館の新刊コーナーで見つけて。1936年ベルリン、ナチスのもとで開かれたオリンピックのノンフィクションだ。記録映画「オリンピア」の監督レニ・リーフェンシュタールへのインタビューが驚きに満ちている。彼女はナチスに利用されたのか、美を追い求めたのか。オリンピックそのものが、不可思議な祭典だ。世界平和と国の威信、極限を追求するスポーツと演出された祭としてのスポーツ、相反するような事象が渾然一体となって展開する。選手たちの活躍と共に人生も描かれる。喜びと苦しみと悲しみと。今、この時期に、考えさせられる本だった。
2021/06/19
Roko
オリンピックを映像で記録した初めての大会でした。最初はドイツの国威を世界に見せつけるという意図が先行していたのでしょうが、結果としては素晴らしい映画「民族の祭典」が製作されました。沢木氏は「あとがきⅢ」の中で、”なんとかわいそうな「二度目の東京オリンピック」さん” と言っています。スポーツを愛するから競技者を応援したいという気持ちはあるのだけれど、オリンピックというシステムには違和感が生まれてしまっているというのが正直なところです。この時期に、この本を読むことができて良かったと思います。
2021/08/24
tomi
開戦間際の1936年、ナチスの威信を賭けて開催されたベルリンオリンピックを描いたノンフィクション。記録映画「オリンピア」を監督した晩年のレニ・リーフェンシュタールへのインタビューと、出場した日本人選手たちの証言をもとに構成。勝った者、敗れた者。国を背負って出場した選手たちの当時の心境や会場の空気などスポーツに疎い私にも興味深く、当時はまだ黎明期で試行錯誤だった競技のエピソードの数々も面白く読んだ。
2022/10/30
ホースケ
元々オリンピックに対しての思い入れが特別あるわけでもなくTVで放映されていれば見るぐらいのスタンスだったが、こと東京オリンピックに関しては、一連の騒動のおかげで全く見る気がしなくなった。その代わりにというべきか本書を手に取ってみた。1936年ベルリンで開催されたオリンピック。渡航するのも一苦労だったその時代の日本人選手たちの活躍と苦悩が描かれる。選ばれしアスリートの特別感たるや現代とは比較にはならないであろうことが随所にうかがえる。敗北の衝撃でノイローゼに陥った陸上選手、日本人として出場した朝鮮のマラソン
2021/08/03
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