作家との遭遇 (新潮文庫)
作家との遭遇 (新潮文庫) / 感想・レビュー
佐島楓
一流の書き手は、一流の読み手でもある。そんな言葉が脳裏に浮かんだ。作家に対する深い敬意と、鋭い洞察で、ひとりひとりの心の奥まで丸裸にしてしまう。だから小説はこわい。けれどおもしろいものでもある。
2022/05/04
ワッピー
読み友さんのコメントから。文学者が文学者を考察するというのは、チャレンジングでひやひやする戦いでもあり、これまでに自分が知らなかった作家世界を覗くことでもあります。なじみの作家もいれば、名前しか知らない作家もいて、沢木尺による測量風景をながめて、自分の視野のせまさ、そしてそれぞれの作家の持ち味やすごさを感じました。山本周五郎の若き日の苦闘、吉村昭の逆説的発進、柴錬のニヒルの原点など知らなかったたくさんのネタを堪能しました。阿部昭は未読のため、『単純な生活』を読んでみます。日本の近現代作家の幅広い扉本です。
2022/09/14
Kajitt22
19人の作家との出会い、すれ違い、その著作を読み込んでの思い。ひとりあたり20ページ前後と短い文章ながらその作家の本質が鋭くあるいは遠回しに語られていると思う。たぶん全著作を読んだ上で書かれたものだろう。1979年から2010年までの文章のようだが1987年「近藤紘一」の文章はその著作『サイゴンから来た妻と娘』に記憶がありリアルタイムで読んだと思う。ちょうどその頃『深夜特急』が刊行されていたのではないか。すこし懐かしく当時に思いを馳せた。
2023/01/30
こうすけ
沢木耕太郎による作家論集。読みやすく、面白かった。その作家の全著作を読まなければ、説得力のある作家論なんて書けないのだとよくわかる。山本周五郎と吉村昭、檀一雄の話が特に印象に残った。読みたい本を探している人にはかなりおすすめ。外国文学編も読みたい。
2022/05/30
rokubrain
19人の作家論。 沢木さんが独自の視点と方法論で、知遇を得た作家たちの核心に迫る。一つひとつの作品はその作家が歩んできた人生の行程を表している。 作品の変遷やそれらのつながりから作家が辿ってきた人生の彷徨を発見し、また想像し、 彼ら彼女らが書くことによって何を為そうとしていたのかに思いを馳せる。19人の作家の名前の前にはそれぞれ枕詞が配されている。 「虚空への投擲 小林秀雄」、「記憶を読む職人 向田邦子」など。 特にこの2人の作家論は文学が持つ特徴を表しているように感じた。
2023/09/20
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