孤剣―用心棒日月抄 (新潮文庫)
孤剣―用心棒日月抄 (新潮文庫) / 感想・レビュー
yoshida
用心棒日月抄第2巻。魅力的な登場人物、人情の機微、手に汗握る青江の剣。藤沢周平さんの良さが充分に詰まった作品です。前巻の最後に無事に藩に帰参した青江又八郎。しかし、大富家の生き残りで剣客の大富静馬が出奔。大富は前藩主毒殺という藩の秘事の証拠書類を持ち江戸に潜伏。青江は間宮中老より大富より書類を取り戻す密命を受け再び江戸へ向かう。慌ただしい由亀との祝言。江戸では懐かしい細谷に再会。また、前巻で命を救った嗅足組の佐知と再会し次第に心を通わせる。人情あり、恋愛あり、緊迫感ある剣劇の場面あり。一気に読ませる傑作。
2016/05/16
ヴェネツィア
又八郎シリーズ第2弾。ここでも又八郎の「情」がいい感じだ。それに何より、今回は佐知の存在が光っている。けなげで、万事に抑制がきいていて、それでいて芯の強さと、内に秘めた情熱を併せもっている。妻の由亀も、そんなタイプだから、あるいは、藤沢周平の理想の女性であるのかも知れない。そして、江戸にあって憧憬する国元も、また、又八郎がしだいに慣れ親しんできた江戸の地も、それぞれが土地の感覚に対するたしかなリアリティがあり、物語に深みと確かさとを与えているようだ。
2012/07/29
じいじ
2019年の初読み、また読メ「読んだ本」の1000冊目は、大好きな藤沢作品に決めていた。今作は、人気シリーズ「用心棒日月抄」の第二弾。骨太の長編剣客小説で期待通りの面白さだった。ただし、入院病床での読書で集中して読むことができなかったのが残念であった。「楽しい読書」は、心身ともに健康であることが不可欠だと、この度の入院でよくわかりました。
2019/01/23
ぶち
シリーズ第2巻。今作も面白かったです。又八郎は密命によって再度脱藩。盗まれた藩主毒殺の証拠書類を追って江戸へ。またもや用心棒稼業で糊口を凌ぎながらの書類の探索。証拠書類を追うのは藩の二つの派閥。さらに、藩の取り潰しを狙う公儀隠密までもが加わっての三つ巴戦。又八郎に加勢するのは藩の秘密警察組織ともいえる嗅足組の女組員(スパイ)。こんな設定なんですもの、面白いに決まっています。迫真の斬り合いシーン、女スパイとの情事、用心棒仲間の屈託と人情なども加わって、時代小説の魅力に溢れるエンターテイメントとなっています。
2022/01/30
ふじさん
シリーズ2作目。藩主毒殺の陰謀の証拠書類を持って姿を消した大富静馬を追って、再び脱藩し、江戸に戻り、用心棒稼業に糊口を凌ぐことになった又八郎。1作目より地味だが、新たに用心棒稼業の仲間に瘦せ浪人米坂八内が加わったり、嗅足組の女佐知との色模様を配したり等、1作目とは違った細かな心配りも施され、端正で軽快なタッチで最後まで飽きることなく読み切ることが出来た。
2022/04/27
感想・レビューをもっと見る