決闘の辻 (新潮文庫)
決闘の辻 (新潮文庫) / 感想・レビュー
じいじ
日本の歴史に名を残した剣客5名を、藤沢周平が料理した剣豪小説は、藤沢らしい優しさが滲み出てなかなかイケます。登場する5人の剣豪たちは実在の人物なので迫力があります。私は間近の死を腹に収めた、晩年の宮本武蔵を描いた【二天の窟】好きです。愛蔵の枇杷の木剣も重い、と自分の「老い」を嘆きます。また、藤沢さん解釈によると、武蔵は女色には淡白だったようです。これまで、知らなかった晩年の武蔵の心境が面白く描かれています。
2022/04/19
優希
面白かったです。歴史上名高い剣客たちを静かに優しく、時に鋭く描いた連作短編集。テンポよく、ユーモアを交えて描かきながら哀切を感じさせるのに引き込まれました。
2023/02/25
Book & Travel
【海坂藩城下町 第9回読書の集い「冬」】 宮本武蔵、柳生宗矩ら、実在の剣豪を題材にした5つの短編。いずれも戦国~江戸初期のまだ荒々しい時代を描いていて、著者には珍しい部類の作品だ。何と言っても迫力ある剣術シーンに細やかな場景描写、謎めいたストーリー展開と、短編と思えない程の読み応え。剣豪たちの強さではなく、老いの苦しみや狡猾さ、悟りの境地を中心に描かれている所に奥深さを感じた。特に良かったのは愛洲移香斎を追う若き剣士を描いた「飛ぶ猿」。「二天の窟」の老いた武蔵の振舞いも少し違った意味で印象的だった。
2024/01/24
Makoto Yamamoto
武蔵は老い実感しながらの決闘も、従来と同じくさくを弄して立ち向かい、伊藤一刀斎は老いを感じ跡継ぎを思案し、小野派一刀流の礎となる剣士を指名し、秀忠の時代までの話になる。 柳生宗矩が剣を兵法まで広げたのは武蔵の五輪書の影響か? 島原の乱での予見は素晴らしい。 残り二編は剣士にかかわる女性の生き方の方に興味を持ってしまった。 二人の願いが叶うと良いと思う。
2022/06/02
えぬ氏もわるよのぉ
有名な作家だけにやはり上手い。剣豪を主人公にした短編集だが、最初の2篇では剣豪の老いが描かれている。自分ももう若くないから身につまされる。
2022/02/26
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