市塵(上) (新潮文庫)
市塵(上) (新潮文庫) / 感想・レビュー
優希
新井白石の物語と言えますね。貧しい浪人時代から甲府藩の儒者、更には6代家宣の政治顧問まで上り詰めていきます。その腕には反発する人も多かったでしょう。それでも白石は新たな世を作るために暗躍するのだと思います。下巻も読みます。
2023/03/13
shincha
6代将軍・家宣に仕えた新井白石の物語。徳川時代歴代最悪の法令の「生類憐みの令」の綱吉をの後、将軍となった家宣のブレインとなり、種々の軋轢を抱えながらも活躍した人物像が淡々と描かれる。他の藤沢作品とは全く違う作品。新井はく製については、中学の社会の授業で教わった江戸時代の朱子学者くらいの知識しかなかったが、人間・新井白石をあぶりだしている面白い作品。下巻に進みます。
2023/02/15
Gotoran
江戸時代の「正徳の治」で知られる儒学者新井白石の生涯が描かれる。5代将軍綱吉没後甲府藩々主綱豊は6代将軍家宣と なり、新井白石は用人の間部詮房に請われ政治顧問として権力の中枢に身を置く。生類憐みの令廃止、伴天連シドッチの訊問、朝鮮通信使接待の簡素化等に辣腕を振う。白石が職務にのめり込み、家宣の信任が深まるとともに、林大学頭など、敵を増やしていく様子が淡々と描かれている。引き続き、下巻へと読み進めたい。
2024/03/23
加納恭史
貧しい浪人を経て甲府藩の儒者となった新井白石。五代将軍綱吉の死後、藩主綱豊は六代将軍家宣となり、白石は側用人の間部詮房に請われ政治顧問として権力の中枢に身を置く。家宣の顧問として白石は幕府の要人に儒教の講義を広めながら、幕府の政治に参画する。取り組んだ政治の課題は大きい。生類憐れみの令の廃止、伴天連シドッチの訊問、朝鮮通信使接待の簡素化など政治に辣腕を振るう。白石の政治の姿勢は刑罰に厳しいのではなく、儒教の仁愛の心。藤沢周平さんは幕府の上層部の内政や外交に関する政治の関心が深く、新井白石を通し検証した。
2024/07/04
のほほん
新井白石の話です。白石個人の物語というより世情の中の白石の仕事ぶりが書かれています。将軍家宣がまだ甲府藩主綱豊の時から話は始まります。儒者として綱豊に進講します。そして、綱豊の厚い信頼を得ていきます。将軍家宣になったあとも政の相談を受けます。世の中の動きが主に書かれていますので、白石の家族のことはあまり書かれていません。家宣の前の将軍綱吉の悪政の酷さは冗談かと思うほどです。異国人シドッチへの対応、朝鮮との関係など歴史の読み物としても勉強になりました。順調に政に係わっている中、弟子が出奔したところで下巻へ。
2023/10/15
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