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義民が駆ける (新潮文庫 ふ 11-29)

義民が駆ける (新潮文庫 ふ 11-29)

義民が駆ける (新潮文庫 ふ 11-29)

作家
藤沢周平
出版社
新潮社
発売日
2023-03-29
ISBN
9784101247298
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義民が駆ける (新潮文庫 ふ 11-29) / 感想・レビュー

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加納恭史

藤沢周平さんの問題作である本書はあんまり読まれていないようだが、老中水野忠邦の天保の改革に関するので重要な事件だな。将軍家斎は将軍職を息子の家慶に譲ったが、隠居して大御所として政治を手放さない。老中水野忠邦は大御所の川越と庄内の国替えの話にもう一藩を加えて三方国替えを提案し了承を得た。家斎は高齢で長年の大奥の女性たちとの耽溺した生活に疲れていた。側妾四十人、御台所茂姫を加え十七人の腹から五十五人を生ませた。もはや松平定信の質素の遺訓は消え贅沢と女色に溺れて来た。転封は大奥に手を回した川越の策動なのだろう。

2024/07/19

シュラフ

江戸時代の天保義民事件(1840年)を題材にした小説。人間社会のオモテとウラ。日々のニュース(オモテ)のウラにこそ真実がある場合があるので注意が必要だ。幕府による三方領地替え(川越藩→庄内藩→長岡藩)のオモテの理由は、酒田港取締り不行届きだが、ウラ事情は川越藩による大奥への働きかけがあった。そしてこれらに対する庄内藩領地の農民らの幕府への反対直訴のオモテの理由は、藩主からの恩に対する忠義ということなのだが、たんなる美しい話ということだけでよいのか・・・物事にはオモテとウラがあるんだよといった物語である。

2024/07/21

のほほん

荘内藩に国替え命令が下りました。調べてみると賄賂がらみの策謀が臭います。これに一縷の望みをかけて物語が始まります。藩主は陳情を考えます。農民たちは今と新しい藩主とどちらがよいか考えます。答えが出ると、智恵者が策をねり、金主が金を用意し、指導者が農民たちを説いて、行動開始です。密かに着々と成果を積み重ねていきます。苦労の末、幕府に前例のない沙汰直りを勝ち取りました。農民たちは歓喜し、藩主も一安心です。農民たちの目的達成のための努力がすごいです。でも、一番すごいと思ったのはこれが史実だということです。

2023/07/05

coldsurgeon

江戸後期、三方国替えという天封が引き起こした農民たちを巻き込んだ騒動が描かれた物語。庄内藩酒井家という明治維新まで長い期間領有した武家と、庄内藩の農民とが、大きな渦を起こして、国替えを阻止しようとする姿は、心を突き動かす。そこには主人公は一人ではなく、登場人物ひとりひとりが役割ではなく人として描かれているから、読みごたえが増す気がする。

2023/05/07

ばるたん

史実に基づき、当時の武士や百姓のそれぞれの思惑が出てとても面白い。たいへん貴重な歴史書のひとつと思える。

2024/03/26

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