裏庭 (新潮文庫)
裏庭 (新潮文庫) / 感想・レビュー
SJW
1995年第一回児童文学ファンタジー大賞受賞作。英国人が住んでいた洋館の庭は子供達の遊び場だったが、行かなくなって久しい照美が秘密の「裏庭」に入り込み、ファタジックな冒険の旅に出る。故人との稀薄だった関係への後ろめたさや親子の希薄な関係への後悔を冒険を通して回復していく話。イングリッシュガーデンの描写を期待したが、いくつかの花が挙げられたのみで、「裏庭」はファンタジーの世界だった。空想すぎる冒険には疲れたが、後ろめたさや後悔を回復する照美の覚悟に圧倒された。共働きなどが原因で希薄な親子関係が問題提起されて
2018/02/10
ちょこまーぶる
少しの時間ずつしか読書に取れなかったからか、あまり内容がピンとこない一冊となってしまった。ファンタジックな裏庭の描写部分になると急に頭の中が??となってしまい、読書ペースもダウンしてしまうあたりは、ファンタジーは苦手ないのか?とさえ思ってしまう。ただ、家族を見つめ直したり、生きることを考えたりするには、この屋敷の裏庭のような過去を回顧できるスペースも必要なのかもしれないと思った。このままだと、作家さんのイメージが悪いから、機会あったら他の作品も読んでみょうとも思っている。
2014/01/14
匠
こんなに付箋だらけにしながら読み解く読書をしたのは何年ぶりだろう。一度読み終えてすぐまた最初から最後まで読み返してしまった。数々の言葉や民話などが伏線にもなり、「裏庭」での体験は深層心理と記憶の旅でもある。家族の死や親子関係を通した心の傷をどう癒し成長していくかを冒険ファンタジーの中、哲学や宗教的思想なども交えて重厚に描かれていた。個人的な考察をここに書くとネタバレになるので差し控えるけれど、母娘三代に渡っての確執とその連鎖に一番じわじわきた。また「傷を恐れず支配されず育てていく」(コメント欄に続く⇒
2014/03/21
kariya
言葉の持つ負の印象を払拭する、豊穣な再生の地。裏庭には別の世界がある。荒廃した洋館の庭へと入り込んだ痛みを抱えた少女は、この世にない”裏庭”から異世界へと旅立った。楽しいばかりでなく、恐怖や汚濁も降り掛かる冒険を経て、少女が最後に出会うのは。傷を痛みを厭い闇雲に癒すのではなく、受け容れ共に生きよという、変奏して繰り返される言葉が胸に留まる。母と娘、姉と弟、父と息子、夫と妻、痛みと喪失を経て、善も悪も内包しつつ、明日へ進む人々の姿は普遍の生だ。損なわれてもより強い、新たな自分へと生まれ変わる。
2010/01/23
nanasi
カバーデザインは早川司寿乃さんです。巻末に河合隼雄さんの解説が収録されています。第一回児童文学ファンタジー大賞受賞作。不思議な雰囲気を持った作品で、読んでいて癒されました。照美がスナッフとテナシと共に旅をする場面が好きです。
2013/12/03
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